「入院中は収入がなくなってしまいます。それを補うために医療保険に入りましょう!」
医療保険のセールストークには幾つか種類があります。
上のような言い方も、定番のセールストークの一つです。
こんな言い方をされると、確かに心は動きますよね。
数ヶ月にもわたる長期入院になって給料がなくなってしまったことを想像すると、何かに備えないといけないと思うのは当然の事です。
何も備えなかったら、家族に対して無責任なような感じすらします。
そこで雰囲気に流されて、契約をしてしまう人もいるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
何となく不安だからという感覚で、保険の契約をしてはいけません。
保険のセールスが言うように、入院期間中の収入減への備えは必要なのでしょうか。
必要だとすれば、いくらくらい準備すればいいのでしょうか。
仮に契約をするにしても、こういったポイントをちゃんと見極めたうえで、契約しなければいけません。
なぜなら長期間はいり続ける保険の保険料は、総額ではかなりの額になるからです。
Contents
まずは公的制度の理解や会社の規定の理解が必要
実はこの問題を考えるのは、それほど単純ではありません。
なぜかと言うと、サラリーマンの場合は、働けない期間も収入がゼロにはならないからです。
しばらくの間は、残っている有給休暇を消化する事で収入は維持されます。
つまり、短期間の入院に対しては、所得減は心配しなくて良いのです。
さらにその後は、健康保険の傷病手当金という制度により給料の3分の2の額が支払われるのです。
収入が三分の二に減ってしまうのはキツイですが、切り詰めれば対応できるという人が多いでしょう。
傷病手当金は、最長で1年半面倒を見てくれます。
あるいは、仕事上の病気や怪我だったら、労災保険による更に手厚い補償があります。
傷病手当金の期間を超える入院をする可能性
さて、傷病手当金などにより、1年半までは公的制度である程度カバーされることが分かりました。
でも、実際の入院期間はどの程度になることが多いのでしょうか?
入院期間の方が、傷病手当金の支給期間よりも長い場合は困ってしまいますよね。
ただ、過去の統計を見る限り、それほど心配する必要は無さそうです。
というのも、平均的な入院日数は30日程度だからです。
脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患の場合は、入院が長期化することもあるようです。
それでも、入院日数は平均100日ちょっとです。
1年半あれば、まあ大丈夫ですね。
給料の三分の二で暮らせるのなら医療保険は要らない
以上のように考えると、今の給料の三分の二と貯蓄で医療費と生活費を賄えれば、所得保障のために医療保険に入る必要は無いわけです。
しかも、健康保険には高額療養費という医療費を抑制する制度があります。
負担が大きくなりすぎるということが無いように、上限は決まっているのです。
少し具体的に考えてみましょう。
例えば、治療がちょっと長引いて210日(7ヶ月)入院したとします
これは、脳血管疾患の平均的な入院日数の2倍程度ですから、かなり長期の入院と言って良いでしょう。
高額療養費を考慮すると、平均的な所得の家庭なら、この期間の入院費を含めた医療費は45万円程度になります。
こんなに長期で入院しても、50万円かからないのです。
さらに、毎月5万円を貯蓄から切り崩して生活費に充てたとしましょう。
そうすると、7ヶ月で35万円必要だということになります。
この場合だと、合計で80万円程度の準備があれば、何とかしのげると言う計算になります。
ここから考えると、一般的には、100万円程度の貯蓄があれば、医療保険が無くても何とかやっていけそうです。
逆に言うと、その程度の預貯金が無ければ、医療保険に入っておいた方が良いかもしれません。
余裕をどの程度見るかは人それぞれだが
治療費とか生活費に、どの程度の余裕を見るかは人それぞれです。
しかし、生命保険会社の営業が言うほど、病気になったときの所得減は差し迫った問題でないことは事実だと思います。
とにかく、最低限の所得保障に関しては、国の制度である健康保険がしてくれていることは知っておきましょう。
それでも必要だと思うのなら、民間の医療保険に入れば良いでしょう。
ちなみに、脳血管障害などの治療が長引く病気になる確率は、年齢が高くなるほど高くなります。
という事は、若いうちに、医療保険の保険料分を貯蓄にまわすと、自分である程度備えが出来ます。
例えば、毎月5,000円を30歳から50歳までの20年間ためれば、120万円が貯まります。
医療保険に入らずに、貯蓄をすると言う選択は、常に考慮に入れるほうが良いと思いますよ。
ちょっと補足します
ここまで述べてきたように、ある程度の貯蓄があれば、医療保険無くても何とかなります。
それならば、使い道を限定される保険に入るくらいなら、使い道を自由に選べる預貯金に回した方がよほど良いでしょう。
しかし例外的に、医療保険に入った方が良い人と言うのも存在します。
それは、自営業者とかフリーランスとかフリーターなどの、企業の国民健康保険に入っている人たちです。
国民健康保険と健康保険の保障は、かなり似通っています。
ただし、国民健康保険には傷病手当金にあたる制度がありません。
ですから、自営業の人などが病気になってしまうと、本当に収入が無くなってしまうのです。
これに備えるために、自営業の人などは、多めに貯蓄をしておく必要があります。
あるいは、医療保険への加入を積極的に考えても良いでしょう。
これに関しては、次のページをご覧下さい。
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タグ: 健康保険, 傷病手当金, 国民健康保険, 所得保障, 高額療養費





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