流通大手のイオンが、REIT の上場を目指しているようです。
新しく出来るREIT は、イオンがもつ商業施設を買い取り、それを運用するという形になります。イオンとしては不動産を売却することになるので、結果的に現金が入ってきます。
もちろんイオンとしては、売却した商業施設から出て行くわけではありません。イオンリートに賃料を払い、引き続き営業を続けます。この賃料が、REIT の収入となります。
実はイオンリートは、以前から話題になっていました。それを知っている人からすると、ようやく実現するという印象を持つでしょうね。
現在でも注目している人も多いようで、雑誌や新聞でも記事を見かけるようになっています。
筋が悪い
このREIT をぜひとも買いたいという人もいらっしゃるのかもしれません。ただ個人的には、非常に筋が悪いと思っています。率直に言って、イオンだけが得をする仕組みに思えてならないのです。
まず、イオンが実質的にイオンリートのスポンサーになります。ですから、イメージとしては、親会社が子会社に持っている不動産を売るような形になるのです。ただ、親会社はその不動産を利用し続け、子会社に賃料を払う形になります。
これって、はっきり言って、力関係が極端ですよね。
イオンリートの立場からすると、イオンの意向に対してノーというのは難しいでしょう。まず不動産の売値は、イオン意向に沿えば高く設定されるはずです。また、不動産の賃料は安く抑えられる可能性が大きいですよね。
この状態は、はっきり言って、REIT を所有する他の投資家の不利益でしか有りません。
イオンが倒産したら最悪
もう一つの懸念が、イオンの経営悪化です。イオンの経営が悪化したら、イオンリートは賃料収入を受け取りにくくなります。結果的に賃料の値下げなんて話になれば、投資家にとって大きなマイナスです。
さらに、イオンが倒産してしまったら、利用者がいない膨大な数の商業施設が残るのです。こんなふうになったら、REIT の価値なんて有ってないようなものでしょう。
つまり、イオンリートに投資するということは、イオンと一蓮托生の道を選ぶことなのです。リスク分散という観点からしても、こんな投資最悪ですよね。
イオンに投資する方が余程マシ
以上のように考えると、とてもではありませんが、イオンリートに投資する気にはなれません。
それだったら、イオンに投資をした方が余程マシと言えそうです。だって、イオンリートが出来るという事は、不動産をイオンの言い値で買い取ってくれるリートができるって事ですよね。
それに、もし経営が厳しくなったら、貸主はイオンの都合を聞いてくれる可能性も大きいのです。イオンリートとは力関係がありますし、イオンリートとしてはイオンに倒産されては困りますから。
イオンが有利な契約だということになれば、イオンの株価は期待できますよね。少なくともイオンリートよりは。
REIT の問題点の集大成みたい
実は、不動産の売主がREIT と比べて有利だという問題点は、他のREIT でも指摘されていました。また、借主が家賃を払えなくなるとREIT の収益に影響するというのも、他のREIT でも同じです。
でも、今回の件は、どちらにしても極端過ぎる気がします。率直に言って、REIT の問題点の集大成のような話になっているわけです。
もしかしたら注目されるREIT になるのかもしれません。でも、私は遠慮したいです。





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