証券会社や銀行の説明を聞いていると、投資信託は良いことだらけのようにも思えます。
例えば、「プロが運用してくれる」なんて言われてしまうと、凄いパフォーマンスが期待できそうですよね。有名大学を出て株式のアナリストの経験を積んだようなプロなら、平凡なパフォーマンスのはずはありません。
あるいは、「投資先を分散できるのでリスクが小さい」というのも、なかなか魅力的な言葉です。日本人はリスクと言う言葉に敏感ですからね。リスクが小さくなるのなら、いい商品だという印象を持つ人も多いでしょう。
しかし当然ですが、投資商品で良いところだけの商品と言うのはありません。当然デメリットもあります。
投資信託に関して言うと、最大のデメリットは、手数料の高さでしょう。普通に株式を購入する場合より、かなり多くの手数料がかかります。
手数料が高いことが認識できれば、銀行や証券会社が投資信託を強く勧めてくる理由も分かるでしょう。手数料というのは、金融機関の儲けにつながります。要するに、彼らにとって儲かる商品だから強く勧めてくるのです。
実は、一般的な投資信託よりも手数料も低くリスクも小さくて儲けやすい商品というのは存在します。でも、そういう商品はあまり儲からないので、金融機関としては積極的に勧めないのです。
それでは、投資信託にはどの程度の手数料がかかるのでしょうか。実際に見てみましょう。
大きいのは「販売手数料」と「信託報酬」の2つ
投資信託には、いくつかの手数料がかかります。その中で特に影響が大きいのは、「販売手数料」と「信託報酬」の2つです。
販売手数料というのは、投資信託を販売している証券会社や銀行などに支払われる手数料です。販売手数料がどの程度かかるかは、投資信託によって大きく異なります。高いものだと販売価格の3%程度かかるようですね。
また同じ投資信託でも、販売しているところによって販売手数料はが違うことがあります。例えば、γ投資信託を買うときにA銀行で買うかB証券で買うかで手数料が違うのです。
一般的には、ネット証券の販売手数料が安いようですね。販売にあまりコストがかからないのでしょう。
もう一つの信託報酬というのは、投資信託の運用にかかる手数料です。定期的な報告書の作成費用などもこの中から支払われます。
信託報酬は、投資信託として預かっているお金の中から、投資信託の運用会社が毎日抜いているお金です。ですから、追加の手数料の支払いなどは要りません。
信託報酬の額も投資信託によって違いますが、株式の投資信託だと信託財産に対して年間1.5%前後はかかるようです。この1.5%がファンドマネージャーと言うプロに任せる代価だと考えると良いでしょう。
手数料を実際の金額になおしてみるとその大きさが分かります
3%とか1.5%と聞くと、たいしたことが無いように感じるでしょう。しかし、実際は大変高額な手数料なのです。
これは、長期国債の表面利回りと比べてみるとわかりやすいでしょう。現在の10年物国債の表面利回りは1%を割っています。ということは、投資信託の信託報酬は国債の利回り以上の手数料を取っているのです。金融機関からしたら、かなり儲かる商売だと認識されていてもおかしくないでしょう。
また、具体的な金額になおしてみると、実際にはかなりの高額である事がわかります。
例えば、100万円で投資信託を購入し、10年後に売却したとします。投資信託は基本的に長期投資のための商品ですから、10年という想定は自然なものでしょう。そして今回は、販売手数料を3%、信託報酬1.5%としてみましょう。
この条件で計算した場合、購入時に販売手数料が3万円かかります。そして、毎年1万5000円の信託報酬もかかります。1
これらを合計してみると、結局10年間で18万円もの手数料がかかるのです。100万円に対して18万円の手数料というのは、馬鹿にならない数字ですよね。
18万円も手数料がかかると最初に分かっていれば、投資信託を買おうなんて思いますか?多分、多くの人が躊躇しますよね。手数料をパーセントで表示することで、手数料が高いことを気づきにくくする効果が有るのです。
ここまでみてきたように、投資信託と言うのはかなりのハンディキャップを背負って運用しているのです。手数料の高さは大きなデメリットと言って良いでしょう。
手数料が安い投資信託を購入することで問題を解決できる
ただ、高い手数料と言う問題は、解決することが出来ます。このページの最初でも書きましたが、投資信託の中には手数料が安い種類があるのです。これらを利用すれば、一つの解決策になるでしょう。
一つはインデックスファンドと呼ばれる投資信託を利用することです。インデックスファンドは、日経平均やナスダックと言った株式や債券の指数に連動させる投資信託です。これらの投資信託は、手数料が安いことで知られています。
もう一つが、ETF と呼ばれる上場型の投資信託です。ETF はインデックスファンドと類似の商品ですが、インデックスファンド以上に手数料が安いです。
ただ、これらの手数料の安い投資信託は、証券会社や銀行ではあまり積極的に勧めてくれません。手数料が安いので、彼らにとっての利益にならないからです。
ですから、この部分に関しては、自分で勉強して投資をする必要があります。逆に、金融機関の言いなりになって投資している人は、いいように鴨にされているとも言えます。
- 実際の信託報酬は、投資信託の基準価額の変動を受けて毎年変わります。ここでは簡単のために、基準価額が変わらなかったものとして計算しています。 [↩]





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