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【業況判断DI】リーマンショック以降のグラフが面白い

別のページでご紹介したとおり、日銀短観を使うと現在の景気の客観的な判断ができます。また、企業が将来の景気をどのように展望してるかもわかります。

しかしそれだけではありません。短観の調査項目を詳しく見ていくと、更に多くの情報が手に入ります。

ここでは特に、業況判断DIについて見てみましょう。

業況判断DIが最重要

日銀短観を使うと、どんな事がわかるのでしょうか。日銀短観で一番良く引用される、業況判断DIについてご紹介しましょう。

日銀短観では、業況判断DIという数字を発表しています。業況判断DIというのは、アンケート調査の中で、景気が良いと答えた企業の割合から、景気が悪いと答えた企業の割合を引いたものです。

日銀短観のアンケートの中では、業況に関する回答は、「1.良い」「2.さほど良くない」「3.悪い」の3つから選んでいます。この内、1と答えた割合から3と答えた割合を引いたものが、業況判断DIということです。

式で書くと、

業況判断DI = 「良い」の割合 - 「悪い」の割合

ということですね。考え方は、非常にシンプルです。

業況判断DIがプラスなら景気は良い

ということは、業況判断DIがプラスなら、景気が良いと思っている企業が多いことになります。これが、一番簡単な見方です。

テレビのニュースでも、この程度までは報じられる事がありますね。特に、大企業・製造業の業況判断DIが注目されます。

変動を見ると更に興味深い

でも、これだけではあまり面白みはありません。これだけでは、比較的景気が良い、あるいは悪いことがわかるだけだからです。

業況判断DIは、過去からの変動をグラフにすると、より興味深いものとなります。

上に書いた定義から、プラスが大きければより景気が良いとも言えそうですよね。ですから、グラフにすると、景気の変動がある程度わかるのです。

実際に、2008年以降をプロットしたものが次のグラフです。大企業・製造業の現況のものですね。

日銀短観・業況判断DI 大企業・製造業・実績

具体的に、グラフを見てみましょう。

リーマンショックで景況感は大幅に悪化

グラフを左から見ていくと、まず、大きく景気が悪化しています。2008年後半から2009年にかけてですね。

この下落の理由は簡単です。リーマンショックがあったので、世界的に不景気でした。

その後回復しているのも分かりますね。企業の景況感としては、一気に悪くなって、一気に回復したというイメージでしょうか。

民主党政権下では、やっぱり景気が悪かった

しかし、また悪化しています。悪化は2010年後半から、2012年いっぱいくらいまででしょうか。

鳩山内閣が出来たのが、2009年9月16日です。ですから、鳩山内閣が出来たときには、リーマンショックからの回復の途上でした。

実は、民主党政権って、良い時期に出来ていたわけです。放って置いても、景気が上向く時期だったわけですから。

それにも関わらず、短命で終わってしまったわけですね。民主党政権下で徐々に景気が悪くなり、政権を維持できませんでした。

景気以外でも色々と問題を指摘されていますけどね。景気という一点で見ても、短命で終わるのがわかります。

経済政策は上手く行かなかったといって良さそうです。増税すると景気が良くなるとか、真顔で言っていた人もいましたからね。そりゃ駄目でしょう。

安倍内閣の発足で景気回復

そしてその後、緩やかにDIは上昇しています。第二次安倍内閣が出来たのが、ちょうどこの時期ですね。

正確には、2012年12月26日です。政権の発足を予想して、株価も早々と上がり始めたのを覚えている人も多いでしょう。

また、タイミング的にも良かったことが分かります。景気循環的にみても、景気が良くなる時期に政権が発足しています。

しかも、第二次安倍内閣初期では、大規模な金融緩和をやっています。景気が良くなる時期に金融緩和したわけですから、景気回復するのは不思議なことでもなんでもありません。

消費税の影響は否定できない

ところが、2014年の後半辺りから、業況判断DIの値は下がっています。2016年の後半あたりが底でしょうか。

これは、消費税の税率アップの影響かもしれませんね。8%への増税が2014年4月ですから、大きな要因の一つと考えるのが妥当でしょう。

しかし、そこから景気は回復しています。この回復は何なのでしょうね。ちょっと分からんなあ。

そして、好景気終わる

そして、ここに来て、また下落傾向にあります。2018年のはじめころから、確実に業況は悪化しているのが分かりますね。

ついには、業況判断DIはゼロになってしまいました。景気が良いとは言えない状態となったわけです。

最後の急落は、消費税の影響でしょうね。景気が悪くなりかけたところに、追い打ちとなった格好です。

そして、この時期に、新型コロナが世界を襲っています。景気で人気を維持してきた安倍内閣としては、相当なピンチと言って良いのではないでしょうか。

これを書いている時点の状況は、こんなところです。

どう考えたて消費税の影響でしょ

ところで、政府はどうも、消費税の悪影響は限定的だと主張したがっているようです。業況判断DIの下降傾向と消費税増税の時期が関係ありそうでも、消費税が悪いとは言いません。なんとしても、政策失敗を認めたくないようですね。

景気が悪いのは天気のせいなどと、主張していたこともありましたね。でも、ちょっと無理があります。何ヶ月にも渡って天気が悪くて景気が下落なんて、ちょっと考えられませからね。

そして、この点に関しては、マスコミも協力的です。突っ込みどころしか無い天気説にも、誰も異論を唱えません。

普段は、アレだけ政府批判に忙しいのですけどね。なにか弱みでも握られているのでしょうか。

どう考えたって、まず増税の影響だと考えると思うのですが。天気で景気悪化説を信じている人がどの程度いるのかは疑問ですが、こんな分析をするくらいなら黙っていてほしいと思います。

安倍内閣がどうなるか興味深い

民主党政権の後に発足した第二次安倍内閣は、景気の良さが支えになっていました。しかし、その景気が悪化しているわけです。

そして、これを書いている時点での業況判断DIを見る限り、下落傾向は止まっていません。消費税の悪影響はそんな簡単には無くならないでしょうしね。政権に取って運が悪いことに、新型コロナも足を引っ張っています。

こうなると、政権を維持できるか、かなり怪しい気がしてきます。

まあ、どうなるかは分かりませんけどね。業況判断DIで見る限り、安倍内閣はピンチであるように見えます。

業況判断DIを長期的に見てみると、こんなこともわかるわけですね。最終的にどうなるかはともかく、ある程度の推測は出来ます。

詳細に見ていくと更に色々と見えてくるかも

ちなみに、業況判断DIからわかることは、これだけではありません。

業況判断DIには、中小企業や非製造業のものもあります。これらと大企業・製造業を比較するのも面白いかもしれませんね。

あとは、株価との関連も興味深そうです。企業の景況感と株価には、ある程度の相関がありそうですからね。

特に、業況判断DIには、将来の見通しに対するものもあります。これと株価を比較すると、何か見えてきそうです。

今回は取り上げませんが、色々と調べて見る価値はありそうですね。日銀短観の、業況判断DIだけでも、かなりいろいろな事ができそうです。

優れた調査だと思います。

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