日銀短観は景気を知るための重要な指標です。日銀の金融政策も、日銀短観の結果が参考にされています。
ところで、日銀短観といういのは、具体的にどのように調査するのでしょうか。あるいは、調査項目はどうなっているのでしょうか。調べてみました。
概要
根拠法 | 統計法 |
調査・公表 | 日本銀行 |
目的 | 全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資する |
企業動向を把握するのが目的というところが重要ですね。そして、それを金融政策に使うということですから、金利などの変動に影響があることになります。
調査対象(全国短観)
目標母集団 | 全国の資本金 2 千万円以上の民間企業(金融機関を除く) |
調査母集団 | 総務省・経済産業省の「経済センサス」をベースとした、全国の資本金 2 千万円以上の民間企業(金融機関を除く)。 |
資本金2000万円以上ということですから、中小企業も対象になっています。実際には、企業の大きさごとにサンプルを集め、集計しているようですね。1
調査時期・公表時期
調査時期 | 毎年 3 月、6 月、9 月、12 月に実施|
公表時期 | 3月分: 4 月初に公表 6月分:7 月初に公表 9月分:10 月初に公表 12月分:12 月央に公表 |
12月の調査を、12月の中には発表するのですね。一瞬、間違えたかと思いました。ただ、「短観(全国企業短期経済観測調査)解説」という日本銀行のドキュメントに、たしかに書かれています。
公表時期 毎年 4 月初、7 月初、10 月初、12 月央に、それぞれ 3 月、6 月、9 月、12 月の調査結果を、2 日間に分けて公表している。
月初にアンケーをと回収して、すぐに発表ということでしょうか。まあ、なにか高度な計算がいるような、それほど難しい集計では無いので、可能でしょうけどね。
調査データの収集
「所定の調査表を用いて、書面およびオンラインにより調査を行っている(日銀のドキュメントより)」そうです。
要するに、資本金2000万円以上の企業から、アンケート調査をしているということですね。
調査項目(全国短観)
日銀短観は、上に書いたとおり、企業に対するアンケート調査です。具体的にどんな事を聞いているのでしょうか。
ちょっと長いですが、全て紹介しましょう。個人的に興味深い項目も、いくつかありました。
より正確なものは、日銀のサイトなどを確認してみてください。
判断項目
日銀の解説によると、「以下の 13 項目について、『最近』と『先行き』の 2 時点に関し」調査しているそうです。各項目は、3つの中から1つを選ぶ形式です。
業況 | 回答企業の収益を中心とした、業況について |
国内での製商品・サービス需給 | 回答企業の主要製商品・サービスの属する業界の、国内における需給について |
海外での製商品需給 | 回答企業の主要製商品の属する業界の海外における需給について |
製商品在庫水準 | 回答企業の売上高などに照らしてみた製商品在庫の過不足について(この項目は、興味深いですね。在庫は景気の影響を受けやすいでしょうから。景気が悪ければ、在庫は増えるというわけです) |
製商品の流通・在庫水準 | 回答企業の主要製商品の属する業界の、国内および海外における流通在庫の過不足について |
生産・営業用設備 | 回答企業の生産設備、営業用設備の過不足について |
雇用人員 | 回答企業の雇用人員の過不足について(有効求人倍率などにも関係しそうな項目です) |
資金繰り | 回答企業の(1)手元流動性水準、(2)金融機関の貸出態度、(3)資金の回収・支払条件などを総合した資金繰りについて |
金融機関の貸出態度 | 回答企業からみた金融機関の貸出態度について(要するに、銀行は企業にお金を貸してくれますかという調査です。銀行が景気をどう見ているかが分かりそうですね) |
CPの発行環境 | 回答企業がCP(コマーシャル・ペーパー)を発行する場合の全般的な発行環境について |
借入金利水準 | 回答企業の借入金利水準について |
販売価格 | 回答企業の主要製商品の販売価格、または主要サービスの提供価格について(企業が最近値上げをしたのか、近い将来値上げをする意思があるかどうかという話ですね) |
仕入価格 | 回答企業の主要原材料購入価格(外注加工費を含む)または主要商品の仕入価格について |
年度計画
「以下の 10 項目について、半期(上期、下期)ごとの計画(予測)計数および実績計数を調査している」そうです。要するに、調査対象になっている企業の現状ということですね。
- 売上高
- 輸出
- 輸出に際しての為替レート
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
- 設備投資額
- 土地投資額
- ソフトウェア投資額
- 研究開発投資額
物価見通し
「以下の 2 項目について、『1 年後』、『3 年後』、『5 年後』の見通しを、回答企業の判断に最も近い番号をそれぞれの選択肢の中から選択する形式で、調査」だそうです。
- 販売価格の見通し
- 物価全般の見通し
企業が物価の変動をどう見ているかという事ですね。個人的には、一番興味深い項目です。また、日銀としても、気になる項目でしょう。実質的に、インフレターゲットをやっていますからね。あまりうまくは行っていませんが。
新卒者採用状況(6、12 月調査のみ)
「 以下の項目の年度の計画(予測)計数および実績計数を調査している 」
新卒採用者数
これも気になりますね。これを見ると、次の年の採用状況が予想できます。また、雇用は景気と密接に関係していますから、その意味でも注目です。
ちなみに、アメリカの中央銀行であるFRB は雇用政策も担当しています。金融政策と雇用には、実は、密接な関係があるのです。
その意味では、雇用が悪いとなれば、日銀も黙っているわけにはいかなくなります。
- 「層化 抽出により調査母集団の中から抽出」(日銀サイトの短観・解説より) [↩]
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