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経常収支が黒字の意味| 貿易・サービス収支より第一次所得収支の方が影響が大きい


日本は貿易立国だと思っている人は、いまだに少なくないでしょう(特に、ある程度の年齢以上の人)。貿易収支の黒字だから日本は安心だという考え方です。

しかし、この認識は、今日では正しく無さそうです。経常収支を見ると、黒字が続いているのですけどね。

貿易・サービス収支が重要?

貿易・サービス収支は、重要な指標になるそうです。例えば、「知るぽると」というサイトなどでは、そのように紹介されていますね。重要な経済指標として、貿易・サービス収支を選んでいます。

実際、貿易収支の赤字・黒字は、新聞記事になっていたり、テレビのニュースで扱われる事も多いようですね。この場合は、貿易収支のみを扱う事が多いようです。特にテレビだとそうですね。時間の都合もあるのでしょう(色々いいたことはありますが、やめておきましょう。脱線し過ぎそうなので)。

ただ、最近では、貿易・サービス収支以上に第一次所得収支の方が影響が大きいのかもしれません。少なくとも、金額ベースで見ると、経常収支への影響は一番大きいのです。

このページでは、そのあたりを確認してみましょう。

ちなみに、経常収支、貿易・サービス収支、第一次所得収支などは、「財務大臣の委任により、日本銀行が毎月作成し、財務省と日本銀行により発表」されているそうです。

経常収支の定義

さて、貿易・サービス収支や第一次所得収支というのは、一体どんなものなのでしょうか。用語の定義から確認してみましょう。

まず知っておきたいのは、経常収支という語です。貿易・サービス収支は、経常収支の一部です。

具体的には、経常収支は次のように定義されます。

経常収支 = 貿易・サービス収支 + 第一次所得収支 + 第二次所得収支

経常収支というのは、「金融収支に計上される取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況を示す」とも説明されています1

率直に言って、分かりづらい説明だと思います。でも、他の解説ページを読んでも、似たりよったりでした。

一応、大和証券のサイトの解説も載せておきましょう。こっちの方が、多少はわかりやすいかな。

一定期間における一国の海外とのモノやサービスの取引、投資収益のやりとりなど経済取引で生じた収支を示す経済指標。 国際収支統計の中の一項目で、国際通貨基金(IMF)が定めた国際収支マニュアルに従って作成するため、国際比較が可能です。

わかりにくければ、上の3つ(貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支)を足したのが経常収支という認識でいきましょう。最低限、これだけ理解しておけば十分なはずです。

貿易・サービス収支

貿易・サービス収支は、貿易収支とサービス収支を合計したものです。

貿易・サービス収支 = 貿易収支 + サービス収支

まあ、当然ですね。

そして、貿易収支、サービス収支とういのは、財務省のサイト(国際収支状況 用語の解説)では次のように説明されています。

貿易収支 財貨(物)の輸出入の収支を示す。 国内居住者と外国人(非居住者)との間のモノ(財貨)の取引(輸出入)を計上する。

サービス収支 サービス取引の収支を示す。 (サービス収支の主な項目) 輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払 旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払 金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払 知的財産権等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払

大雑把に言うと、モノの輸出入の結果が貿易収支です。それ以外の形のない取引の収支(サービス取引)がサービス収支という認識で良いでしょう。

第一次所得収支

次に、第一次所得収支です。実は、この第一次所得収支が、かなり重要です。

第一次所得収支の解説は、次のものがわかりやすいです。2

居住者と非居住者との間の生産要素(労働、資本)の提供に対する報酬の収支であり、雇用者報酬、及び、対外金融債権・債務から生じる利子・配当等からなる。後者には、①直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払、②証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払、③その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払、などが含まれる。 2014年1月以降の国際収支関連統計の見直しを受け、旧統計における「所得収支」が、「第1次所得収支」に名称変更された。

親会社と子会社の間の金銭の授受、海外への投資による配当金や債権の利息のようなものが第一次所得収支とうい感じですね。

近年の経常収支は、第一次所得収支の影響が大きいようです。2000年には71,422(百万ドル)だったのが、2019年には190,002(百万ドル)になっています。

経常収支に占める割合としては、最大のものです。グローバル化の影響が、如実に現れている感じですね。

第二次所得収支

財務省のサイトには、次のように説明されています。

第二次所得収支 居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示す。 官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払等を計上する。

第二次所得収支は金額的に大きくないので、経常収支への影響は限定的です。大枠を理解するだけなら、こういうものもある程度の認識で十分です。

金額が最大なのは第一次所得収支、変動が大きいのは貿易・サービス収支

以前は、日本の経常黒字は、貿易収支の結果であるという説明がなされていました。今でもそういう認識の人は多いでしょう。

しかし、現実には、日本の経常収支黒字を支えているのは第一次所得収支です。例えば、2019年の場合、次のような金額でした(単位:100万米ドル)。

  • 貿易・サービス収支:6,636
  • 第一次所得収支:190,002
  • 第二次所得収支:△ 12,781

貿易・サービス収支は、かなり大きく変動します。近年では赤字になることも珍しくありません。

しかし、第一次所得収支が安定して増えているので、日本が経常赤字になることは、当面は考えづらそうですね。

景気をはかる指標としては、相変わらず、貿易・サービス収支が重要視されるのかもしれません。ただ、以前とは意味合いが違うことは、おさえておいても良いのではないでしょうか。

  1. 財務省 国際収支状況 用語の解説 []
  2. みずほ証券 × 一橋大学 ファイナンス用語集 []

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