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庶民は不動産(特にマンション)で相続税対策をしてはいけない

老後の生活資金対策や相続税対策で、不動産の購入を勧められた経験がある人は少なくないでしょう。特にマンションの勧誘が多いのでは無いかと思います。

このマンションでの老後資金対策や相続税対策は、正しい選択なのでしょうか。それとも、避けたほうが良いのでしょうか。

どうやら、持っている資産の額によって答えが違うようです。

不動産は老後や相続の備えとしてベストなのか?

ある程度の資産を持っている人の中には、次のような提案をされた経験がある人がいるのでは無いでしょうか。

  • 老後に安定した収入を得るために、投資用のマンションを買って賃料を得ましょう
  • 相続税対策に、マンションを購入しましょう
  • 使っていない土地にアパートを建てて相続税対策をしましょう

こういった提案には、それなりの説得力があります。少なくとも、プラスの面だけをみると、かなり魅力的に感じることでしょう。

さて、実際のところは、どうなのでしょうか。

年金代わりに賃貸マンションはやめておこう

こういった提案の中で、まず、「年金代わりに投資用のマンションを」という提案は、論外だと思っていいでしょう。

不動産を買って貸すというビジネス

投資用の不動産を持つということは、物件を取得して不動産を貸すというビジネスをすることです。これは、素人にはなかなか難しいことなのです。

例えば、入居者が決まらないと、収入より支出のほうが大きくなります。あるいは、自分が思っていたような賃料で貸せない可能性も有るでしょう。

悪質な入居者の可能性もあります。確率は低いながらも、日本にいる以上は、地震や津波のリスクもあります。

業者の話を聞いていると、魅力的に感じるかもしれませんけどね。彼らも商売なので、有利な点は強調し、不利な点は小声で言うものです。

もちろんうまくいく可能性が無いとはいいません。でも、確率は高くありませんし、最悪の場合は目も当てられない状態になります。

ここでは突っ込んだ議論はしませんが、素人にはそれほど簡単では無いわけです。

インカムゲインが得られる金融商品を選ぼう

自分でマンションを買って人に貸そうと思っているくらいなら、REIT にでも投資することをおすすめします。REIT でも買って、プロの運用に任せるという選択をするわけです。

例えばREIT だったら、一般的には、年2回のペースで分配金が入ってきます。これは家賃収入のようなものですよね。

REIT でなくても、コンスタントなインカムゲインが狙える投資商品を選ぶべきです。

REIT の価格変動が嫌なら…

こういう提案をすると、「REIT は値下がりする可能性がある」と言い出す人がかならずいます。

でも、自分で不動産を持った場合は、分散が出来ていない分、さらにハイリスクなんですよね。借金をしてレバレッジがかかっている場合もあるでしょうし。

REIT ですら価格変動リスクが怖いなら、不動産投資なんてしてはいけません。

一括借上げも微妙です

業者が借り上げをして、かわりに運営してくれるようなシステムもあります。ただ、これも、中間マージンを払うわけですから収益性は悪くなります。

さらには、時間が経つと条件が悪化するという話もよく聞きます。更新するタイミングで、賃料が引き下げられていくのです。

当初の賃料が魅力的でも、最終的にはローンの返済額を下回るなんていうことも珍しくありません。

持っている資産が多ければ不動産さんでの相続税対策は有効

それでは、相続対策として不動産を使うのはどうでしょうか。

確かに、かなりの金持ちなら、相続税対策で不動産を持つことには意味があります。しかし、不動産が有効なのはいわゆる富裕層に限られます。

例えば1億円程度の財産しか持っていない人は、不動産以外の方法を使って相続税対策をするほうが懸命でしょう。数億円程度の資産があれば、十分検討に値するでしょうけどね。

ここからは、そのあたりの話をしたいと思います。

不動産はなぜ節税に使えるのか

そもそも不動産は、なぜ相続税対策で使えるのでしょうか。その理由は簡単で、不動産は相続税評価額が低くなる傾向があるからです。

例えば1億円の現金や預金なら、相続税の評価額を計算する時に、当然1億円という評価をされます。しかし1億円で不動産を買えば、例えば5,000万円と評価されたりするわけです。

ということは、相続する財産が5,000万円小さくなるわけですから、必然的に相続税も安くなるという理屈です。細かく解説すると本1冊がかけるような内容なのですが、大雑把な考え方はこういうことです。

マンションが有利らしい

ただ、不動産なら何でもいいというわけではありません。様々な条件によって、購入価格と不動産評価額の差が大きかったり小さかったりするのです。

例えば、更地よりも建物が建っていたほうが評価額が安くなります。また、自分で住んでいるよりも貸家の方が節税が出来ます。

これらの条件を突き詰めていくと、東京の中古のタワーマンションを買って賃貸に出すのがいいという主張をしている人もいます。これはあくまで一つの見解ですけどね。

まあ、それでも、賃貸用のマンションが良いとういのは一般論としても間違っていません。制度上有利なのです。

1億円くらいの資産だと賃貸マンションはメリットよりデメリットが大きい

ただ、相続する資産が1億円程度だと、賃貸用マンションを含めた不動産で対策するのはお勧めできません。メリットよりもデメリットが大きいと考えられるのです。

これは、実際の数字をみて考えると分かりやすいでしょう。

金融資産だけが残ったケース

具体的に、次のような例を考えてみましょう。

Aさんには妻Bさんと二人の子供CさんとDさんがいるとします。このAさんが亡くなったとしましょう。

Aさんが残した財産は、預金だけで1億円でした。この場合、相続税はどうなるのでしょうか。

Aさんの遺産の相続税評価額は、当然ですが1億円です。この場合、法定相続分に従って相続をしたとすると、具体的な計算は省略しますが、Aさんの遺産にかかる相続税は総額で315万円となります。

1億円の財産があっても、3%程度の税金しかかからないわけです。人によって感じ方は違うと思いますが、意外と小さいと感じる人も多いでしょう。

実は、少し工夫することで、さらに相続税額を小さくすることも可能です(後述)。

相続税対策でマンションを買ったケース

それでは、この1億円の半分の5,000万円でマンションを買って相続税対策をしたケースを考えましょう。マンションの相続税評価額が、4割の2,000万円まで下げられたとします。

この場合、他は同じ条件で計算すると、相続税額は112万4000円まで下げることができます。つまり、賃貸用のマンションを選ぶことで、約200万円の節税が出来るわけです。

不動産の取得なら手数料がかかる

相続税の税額を約3分の1にしたわけですから、これは大成功のように見えるでしょう。しかし、そんな簡単な話ではありません。

マンションを取得する時には、ある程度のコストが掛かります。中古マンションだと10%かかるケースもあります。

5,000万円でマンションを買ったということは、最大で500万円程度は手数料だった可能性があるわけです。ということは、約200万円の節税では大赤字というケースも有るわけですね。

また、マンションというのは、時間が経つと価値が落ちていきます。同じ地域の似たような物件だったら、築年数が浅いほうがマンションの価格は高いですよね。

つまり、マンションを買った場合は、それが収益を産まなければ、価値を落とすだけなのです。5,000万円で買ったマンションが価値を落とすのなら、現金で持っていた方がマシだったということにもなりかねませんよね。

5,000万円で買ったあと5年放っておいたら、市場で4,000万円でしか売れなくなっていたなんてことになりかねません。当然ですが、これだと大赤字です。

価格下落のリスクを負ってまで、マンションを買いますか?私には、多少の相続税を払っても、現金で持っている方が有利に思えます。

もっと大きい資産が有るのなら、マンションを使った節税は魅力的です。しかし、1億円くらいまでなら、あまり魅力を感じないというのが率直なところです。

まあ、現金もインフレに弱いので、総合的に考えたらREIT やETF などのインフレに強い証券を買うのがベストでしょうかね。

不動産以外の方法を使って節税できる

ちなみに、1億円くらいの資産の場合は、他の方法を使って節税するほうが懸命でしょう。具体的には、生命保険と贈与を使います。

生命保険では、法定相続人一人につき500万円の非課税枠があります。例えば上のケースだと、Bさん、Cさん、Dさんの3人分の1,500万円の非課税額枠があるのです。

ということは、Aさんが保険金額1,500万円以上の終身保険に入っておけば、相続税の評価額を1,500万円下げることが出来ます。

また、生前に贈与してしまうのも賢い方法です。贈与税では暦年課税という方法を使うと、贈与される人1人につき年間110万円の基礎控除があります。

つまり、1年に1人110万円以下の贈与では税金がかからないのです。

ということは、Bさん、Cさん、Dさんの3人が毎年100万円贈与すれば、10年で3,000万円分の相続財産を減らせます。

生命保険の1,500万円と贈与の3,000万円の合わせて4,500円分相続する財産を減らせます。つまり、相続税評価額が5,500万円になるわけです。

この場合の贈与税は、総額で35万円となります。つまり、不動産を買ってリスクを取るよりも、大きな節税が出来るわけです。

このように、1億円前後の資産しか持っていない人なら、不動産を使わない方が賢い対処が出来ます。ただ、贈与税の基礎控除を使う場合は、ある程度時間を掛けないといけません。ですから早目の準備が大事です。

実はこれ以外にも相続税を減らす仕組みはあります。フルに活用すれば相続税をゼロにすることも可能でしょう。

ということで、不動産で相続税対策をするのは、それなりの富裕層に限った話だと理解しておきましょう。1億円とか2億円程度の小金持ちレベルだと、違った方法を選んだほうが有効です。

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