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【贈与】相続時精算制度はデメリットが大きい| 従来の暦年課税の方が得か?

贈与には2つのタイプがあるのをご存知でしょうか。相続時精算制度と暦年課税の2つです。この2つは何が違うかというと、贈与税や相続税の計算方法が違います。相続時精算制度を選んだ場合、贈与税がかからず、将来の相続税として清算されるのです。

相続時精算課税は、そもそも、生前贈与を促す目的があったのでしょう。さて、実際に、生前贈与はしやすくなったのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

財産をあげると贈与税がかかります

まず、基本的なところから確認していきましょう。

例えば、AさんからBさんにお金をあげたとします。このお金が給料などだと、所得税の課税対象になりますね。Aさんが個人事業主で、Bさんが従業員であるようなパターンです。

でも、AさんとBさんが雇用関係になければ、所得税は発生しません。例えば、AさんがBさんに純粋にお金をプレゼントしたようなケースです。

ただこの場合は、所得税がかからない代わりに、贈与税という税金が発生します。贈与したことによって掛かる税金だから、贈与税というわけです。分かりやすいですね。

贈与税には2つのタイプがある

ところで、贈与税には2つのタイプがあります。知っていましたか?

暦年課税

一つは、暦年課税と呼ばれるタイプです。

暦年課税という名前を見ると、何だか難しそうな印象を持つかもしれません。しかしそんなことはありません。

昔からの贈与税の考え方を暦年課税という名前を付けて呼んでいるだけです。何も選択をしない場合は、この暦年課税が選択されます。

暦年課税に関しては、あとでもう少し詳しく説明します。とりあえずは、昔からの方法だと思っておいてください。

相続時精算課税

もう一つが相続時精算課税と呼ばれているタイプです。

実は、この相続時精算課税というタイプができたので、今までの仕組みを暦年課税という名前で呼ぶようになったのです。

相続時精算課税という仕組みですが、簡単に言うと、相続の前倒しです。「生きているうちに相続するはずの財産を渡してしまい、将来、相続の時点で清算しましょう」というのが基本コンセプトです。相続の時点で生産するから、相続時精算課税というわけです。

この2つの仕組みに関して、もう少し詳しく見ていきましょう。

暦年課税は毎年課税されるタイプ

AさんからBさんにまとまったお金が渡されると、これは贈与税の課税対象になります。具体的にいくらかというと、1年に110万円を超えると、超えた部分に対して贈与税がかかります。

ということは、110万円以上の贈与があった場合は、贈与税を払わないといけないわけですね。逆に言うと、110万円を下回る額なら、渡したところで何も文句を言われないわけです。

ですから、小金持ちレベルの人だと、例えば毎年100万円を子供に渡すというような事をしています。こうすることで親の財産を減らし、相続時に相続税を減らす効果が生まれるのです。

例えば、20年かけて2,000万円を子供に渡すと、親の資産が2,000万円減ります。資産が減るという事は、将来の相続税が安くなるという事です。

年間110万円がマックスですから、本当に金持ちにとっては誤差みたいなやり方ですけどね。でも、数千万円とか数億円程度の資産の持ち主なら、一定の効果があるわけです。

数千万円から数億円程度の資産を持っている人は、研究してみる価値があるでしょう。税理士を雇っていれば、既に勧められているでしょうけどね。

相続時精算課税はちょっと複雑

これに対して、相続時精算課税はちょっと複雑です。仮に贈与があっても、累計で2,500万円まではすぐには贈与税がかからないのです。

それではいつ税金を取られるかというと、相続税の時に、贈与した分も相続したと見なされるのです。つまり、贈与税を取られない代わりに、将来、相続税を取られるというわけですね。

例えば、相続時精算課税によってAさんの生前に息子のBさんへ2,000万円の贈与があったとします。Aさんが亡くなった場合、Aさんに残った財産と贈与した2,000万円をもとに、相続税の額が計算されることになります。

つまり、「相続時精算」という名前の通り、今までの贈与を相続の時に清算しましょうという制度なわけです。相続税は贈与税よりも税率が安いので、普通に2,000万円を贈与をした場合よりも納める税金は安くなるはずです。

ちなみに、相続時精算制度は誰でも使えるというわけではありません。国税庁のサイトには、対象者について、次のような記述があります。

 贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫とされています。

相続時精算制度は微妙な制度

相続税精算制度は後から作られた選択肢ですから、きっと有利に違いないと思った人も多いでしょう。上にも書きましたが、贈与税と比べれば、相続税の方が税率が安いですからね。

しかし、よくよく考えてみると、意外と使いづらい仕組みであることがわかります。従来通りの暦年課税を選んだ方が有利なケースの方が多いかもしれません。

まず、一番重要なポイントは、相続時精算制度は、最終的には相続税が課税されるという点です。贈与税と比べれば税率は安くなりますが、贈与税の暦年課税のように1年につき110万円までは完全に非課税というような事はありません。

つまり、最終的に相続税を払う程度の資産がある人なら、相続時精算制度は非課税枠を無くしているだけなのです。正直に言って、この時点で既に、相続時精算制度が有利かどうかかなり疑わしいのです。

また、相続時精算制度を一度選んでしまうと、暦年課税と併用したり、暦年課税に戻る事ができないというのも重要です。長生きをした場合には、毎年110万円ずつ渡していった場合の方が控除が大きくなるからです。

Aさんが60歳になってから、毎年110万円ずつ息子のBさんにお金を渡したとします。仮にBさんが85歳まで長生きしたとすると、AさんからBさんへは2,750万円が贈与されることになります。ここまで生きられれば、非課税枠だけで、通常の暦年課税の方が有利になってしまいます。

実際にはここまで長生きできなくても、上に書いたように相続時精算制度には相続税のか税があります。ということは、Aさんがある程度まで生きられれば、通常の暦年課税の方が有利という事になります。

こうやって考えてみると、率直に言って、従来の暦年課税を選んだ方が有利なケースが多そうです。相続時精算制度を選んだ方が有利な場合が無いわけでは無いのですけどね。なんとなく有利そうというだけで飛びつくと、多分失敗することになるでしょう。

何にしても、ある程度の資産を持っている人は、生前に相続人に資産を渡しておく方が有利です。その時に、贈与税との兼ね合いを考えて有利な方法を選ぶのが大事です。

そしてこのときに、従来の暦年課税の方が有利なケースがあることは知っておきましょう。計画的に財産の移転をするなら、暦年課税の方が有利なケースが多いです。

余談ですが

ちょっと余談ですが、FP技能検定の学科試験の選択肢に、次のようなものがありました。

相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の税額は、特定贈与者ごとに、贈与財産の価額から、基礎控除額に加え、累計2,500万円の特別控除額を控除した後の残額に所定の税率を乗じて計算する。

これの正誤が分かりますか?

相続時精算課税制度を利用した場合は、従来からある暦年課税は使えません。ということは、基礎控除の110万円は関係なくなるわけです。

つまり、「基礎控除額に加え、累計2,500万円の特別控除額を控除」という部分が間違っているわけですね。ということで、この選択肢は誤りです。

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