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百貨店という業態はどこまで衰退する?| 試行錯誤するが出口見えず

ここ10年くらい言われ続けていますが、百貨店という業態は、かなり厳しい状況のようですね。中国人観光客の爆買いなどがあり、何とか稼いでいるという印象です。

ここ数年の百貨店関連のニュースで、興味を持ったものをまとめてみました。

百貨店と高級ブランドの力関係が変化

百貨店の大量閉店で、高級ブランドが困っているという記事がダイヤモンド・オンラインンに載っていました。1

高級アパレルや化粧品のブランドにとっては、百貨店が主戦場でした。その百貨店の数が減れば、メーカー側も厳しくなるという事ですね。

また、百貨店のモデルが上手くいっていた時代にはメーカーと百貨店の関係は良好でした。しかし、百貨店全体の売り上げが減ることで、関係も変化してきているようです。このあたりの事情も、興味深いところでしょう。

でも、記事の結論はちょっと気に食わないんですよね。ちょっと引用してみます。

凋落は百貨店自体の自助努力の欠如が原因だろう。これまでもいわれてきたことだが、主力の衣料品はアパレルメーカー任せの商品政策、売り場運営であり、一部で自社開発商品や自主運営売り場作りに取り組んできたが、どれも成功しているとは言い難い状況だ。

頑張っていないから上手くいかないは、ちょっと安易すぎる結論じゃないですか?もちろん、そういう部分もあるのでしょうが、それを主因と言われてしまうとね。違和感しかありません。

主因は経済環境の変化でしょ。もう、昔みたいにたくさんの百貨店がいらない時代になっているんだよ。それだけの事ではないかと思うんです。

頑張って人を集めてもそんなに売れず

さて、ちょっと話題を変えましょう。日本の百貨店の象徴的な存在である三越銀座ですら、思ったようにいかない側面はあるようです。

ちょっと古い話ですが、2010年9月に銀座三越がリニューアルしました。これには沢山の人が集まったそうです。時事通信によると、初日の来客数は、過去最高の18万人だったとか。2

ちょっとした地方都市の人口位は集まったと言う感じですね。さぞかし混んでいたことでしょう。

集客自体は上手くいったという話です。話題さえ作れば、百貨店にも集客能力があるという証拠ですからね。

来客数は最高だけど

さて、ここでちょっと気になる事が。来客数は最高だけど、肝心の売上はどうだったのでしょうか?記事によると、今日一日で7億円を売り上げたそうです。そして、7億円と言う数字は「目標通り」なのだとか。

これって、暗に人は集まったけど、それなりにしか売れなかったと言う事を意味しているんじゃないでしょうか?少なくとも、売上が過去最高とはならなかったと言うことですよね。

文字情報だけだと、細かい数字が分かりませんから、正確なところはなんとも言えませんけど。

ちなみに、この日のこの店舗の売上高は分かりませんが、この年の三越全体での売上高は、前年を割り込んでいます。とりあえず、全体に大きな影響を与えたわけでは無いのだけは確実みたいですね。

服装を自由にしたら状況が変わるのか?

こんな感じですから、百貨店というのは、もう結構追い込まれているのでしょうね。とりあえず思いついたものは何でもやってみるという感じになっているように思います。

例えば、高島屋が入社式のスーツ着用を禁止するなんてことをしています。なんでも、若者の百貨店離れに歯止めをかける効果を期待しているのだとか。3

若者の百貨店離れに歯止めをかけるには、まずは「入社後間もない従業員の声に耳を傾ける雰囲気作りが不可欠」(鈴木弘治社長)と判断。異例の入社式のスーツ着用禁止に踏み切り、

本気でそう思っているのだろうか

正直、意味が分かりません。入社式でスーツ着用を禁止すると、若い社員の声に耳を傾けられると判断したのでしょうか?逆に入社式くらいはスーツでいきたいと思う人も多そうな気がするのですけど。

でも記事で「発表した」と書かれています。ということは、最低でも重役クラスの会議で決めて、自らプレスリリースを出しているのでしょうね。

世間に知られることを意図しているわけですから、大真面目に考えたことは間違いありません。

あるいは、違う意図があるのだろうか?

うがった見方をすれば、この発表には違った意図があるのかもしれません。それは、マスメディアに取り上げてもらい、イメージアップを図ろうというものです。スーツを止めたらイメージが上がるとも思えませんけど。

まあ、こういう風に、マスコミに取り上げてもらう事で、高島屋は自由な発想を持つ人を求めているとアッピールしたいのかもしれません。あるいは、若手の声を聞く会社だと言いたいのかも。

若い人達のファッションを提供していく会社だと言いたい可能性もありますね。まあ、そういう意図を持っていたとしても、成功しているかどうかは分かりませんが。

どうせなら、スーツのコンテストでもすれば

スーツを禁止されたところで、新入社員が本当に自由な服装を出来るはずがありません。オッサンがカジュアルフライデーのときに着用する、無難な格好に落ち着くことでしょう。

新入社員を困らせるだけで、あまり意味があるとは思えません。

それだったら、スーツ着用にして、おしゃれ度でも競ってみたらいかがでしょうか。新入社員は80人で、男女比も半々くらいみたいですから、面白いと思うんだけどなあ。

百貨店なら、実現可能な企画だと思うのですけど。スーツ禁止なんてするよりは、よほど意味がありそうな気がします。

マスコミにも注目してもらえるかもしれませんし。

爆買いも終わったようですね

で、そんな百貨店が期待したのが、中国の爆買いです。

2016年の初めごろには、中国の爆買いにはいまだに期待を持っている人が多いようでした。例えば、当時Yahoo!ニュースで「爆買い」で検索すると、2016年の1月1日から6日の記事だけでも52件もの記事があったようです。

ちなみに、2017円の12月にYahoo!ニュースで「爆買い」と検索すると記事は1日一本あるかどうかです。しかも、日本のデパートでの爆買いの話は全く出ていませんでした。

完全に終わったようです。

実は、2016年の初めころには、爆買いの終わりが近いと考えられる証拠がいくつも出ていました。でも、マスコミは、爆買いは続くと煽っていたわけです。

ホント、マスコミの存在意義って何なのでしょう。彼らは、完全に後追いで煽る事しかできないんですよね。

さて、2016年初ころの爆買い終了の証拠には、次のようなものがあります。

銀聯カードの制限利用制限

2015年の後半に、中国の銀聯カードの海外での利用制限が厳しくなったのだそうです。海外で引き出す際には、1枚当たり年間約190万円までしか引き出せなくなりました。4

これは、中国の外貨準備高が減少しているためだと言われています。共産党幹部などが国内にある財産をドル建てにして海外に持ち出す影響が大きいようですね。

それだけ人民元と言う通貨が信頼されていないという裏返しでもあります。

専門家の中にも爆買いの終了を指摘する声も

日本人の専門家の中にも、爆買いの終了を示唆する人が出てきました。例えば、東京新聞の長谷川幸洋氏によると、前年同月比で見た場合に、20156月に407.1%でしたが、2015年の11月には166.5%まで落ち着いてきているそうです。

ちなみに、元は日本百貨店協会の統計ということです。調べてみたら、ネットで公開されている情報のようですね。

評論家の宮崎正弘氏も、自身のメルマガで「『これほどの落ち込みは2003年のSARS騒ぎ以来じゃ』香港の小売り、12ヶ月連続の減少、観光客も激減している」という記事を書いています。香港の小売と観光業は厳しい状況のようです。

香港の観光客が日本にシフトしているという見方も可能ですが、中国人観光客の購買力が鈍ってきたと言う可能性も大きそうですよね。

景気は回復しつつあるがデパートは厳しいまま

中国の爆買いが完全に終わり、百貨店業界は次はどうするつもりなのでしょうか。いくつか百貨店の売上高推移をみてみましたが、何とか売上高を維持しているという印象でした。百貨店協会の全体資料を見ても、そんな感じですね。

正直に言って、将来的にも厳しい感じしかしません。日本人の生活スタイルが変わり、百貨店に行かなくなりましたからね。

その状況で売上高を維持しているというのは、がんばっている証拠なのかもしれませんね。長期で徐々に売上を下げている中で、何とか維持しているわけですから。

まあ、景気が良くなっているというだけの話かもしれませけど。


  1. 高級ブランドが路頭に迷う!?百貨店大量閉鎖時代
    ダイヤモンド・オンライン 2016年10月4日 []
  2. ■ 新装三越銀座、客足切れず=オープン初日は最高の18万人
    http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2010091100289 []
  3. 入社式のスーツご法度=新入社員に自己表現期待-高島屋
    http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2012032200891 []
  4. 中国人“爆買い”にブレーキ? 大人気のカードに引き出し制限、幹部の資金流出を牽制か
    産経ニュース 2015.10.1 15:21 []

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