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中国政府なりふり構わず株価維持の努力| もはや株式市場とは呼べないレベルに

中国株が下げ止まりません。これを書いている時点では、3週間ちょっとで32%も上海総合指数が下落したのだそうです。1

32%落ちたという事は、要するに、上海総合指数が3分の2程度までになったという事ですね。わずか3週間でここまで下落するのは、あまり見たことがありません。ほとんど投売りの状態と言って良いでしょう。

株価対策をはじめた中国

この株価下落に対して中国では、政府が株価を維持するために、必死になっています。通常の投資の常識では絶対にやってはいけないと考えられていることすら、平気でしているのです。

具体的にどんなことをしているかというと、次のようなことをしています。

  • 株価下落の犯人探しを約束
  • IPOを一時停止
  • 信用取引規制を緩和
  • 利下げ
  • 証券会社に公的資金を入れ、株価の買い支えをさせる
  • 売られそうな株は売買停止

許される行為であろうと無かろうと、出来ることは全部やっているという感じですね。特に酷いのが最後の2つです。もう、市場の信頼がなくなっても良いから株価だけは維持したいという感じすらします。

以下、興味深い点について、いくつか指摘しておきたいと思います。

海外投資家の陰謀?

まず、中国の株価の下落の要因ですが、海外投資家の陰謀なのだそうです。少なくとも、中国の当局はそう考えているようですね。

異例の対策が続くなか、株価暴落の犯人捜しまで始まった。ロイター通信によると、中国証券監督管理委員会は、大規模な空売りをしかけている海外勢力がいるとの見方を固め、その背景を探るべく調査班を立ち上げた。2

この見立てが正しいかどうかは別にして、中国政府がこんなことを言い出したのには理由があります。具体的な悪者を作らないと、批判が政府に集中するからです。政府批判を避けるために、海外投資家が使われてしまっているのでしょう。

そう言えば、日本でもハゲタカ批判をしていた人もいましたよね。あれは、少し違う文脈でしたけど。

中央政府が株価維持なんてやってはいけない

それにしても、今回の対策は、かなり滅茶苦茶なことをやっています。普通の国なら絶対に許されないようなことまで、平気でやっているのです。

そもそも、中央政府が株価の維持に公然と動くなんてありえないことなんですよね。市場原理で株価が決まるのではなく、株価操作で自分達の都合のいい株価を作ろうとしているわけです。

そんな公平性の無い市場で、常識的には株式投資など出来ないと思うのです。だって、株価が下がると思って空売りを仕掛けたら、ルール違反の大きな力が働いて結果的に損をするという事ですよね。

となると、空売りをしようという人がいなくなってしまいます。そんな市場で投資できるかとなってしまうわけです。

空売りをする人が減っても、別に問題は無いと考える人もいるかもしれません。でも、必ずしもそうではないのです。というのも、空売りが減ると市場の流動性が落ちる可能性が大きいです。ですから、普段の取引をするうえではマイナス要因なのです。

率直に言って、中央銀行自らが市場を傷つけただけという感じがします。

株の買い支えまで行われた

そして、その価格維持の手法の中でもっともいけないのが、公的資金を入れて株式の買い支えをさせると言う手法です。一番やってはいけないことなのに、早々と実効に踏み切ってしまいました。

ちなみに、中国の株式の買い支えですが、次のように行われているようです。

事態を重く見た中国人民銀行は「市場の動向を注視し、金融リスクが発生しないよう最低限のラインを守る」という声明を発表。当局は8日、上海と深センの市場を運営する会社を通じて21の証券会社に5兆円規模の融資を行い、株価の下支えを支援していく意思を示した。3

一応、民間の証券会社を通すことで、政府が直接買い付けているという状況は避けているようです。でも、証券会社へのお金の流れが明らかなようですから、政府が直接買い付けているようなものですけどね。

売買の停止をして株価の維持をしやすくした?

もう一つまずいのが、売られそうな株の売買停止をしていることです。売られそうな株を売買できないようにしてしまえば、株価は下がらないと言う理屈ですね。まあ、こんな手法も、普通の国ならとりません。

そもそも、こんなふうに売買の停止をしてしまうということは、売買を停止された会社にとってもいい話だとは思えません。取引を停止されるということは、会社の経営が上手く行っていないことを公表されたようなものですから。

一度売買を停止された会社は、取引が再開されたときにまともに値が付くのでしょうか。

ちなみに、取引停止の状況は次のようになっているようです。

海や深センの株式市場では、自社株の下落を恐れる企業が相次いで証券取引所に自社株の売買停止を申請。8日時点の売買停止銘柄は1400を超え、全体の半数を超える「前代未聞の事態」(大手証券)となった。4

半数を超える会社が取引を停止しているようですね。こうなると、もう、市場の体をなしていないようにすら思えません。

そして、これをもとに計算される総合指数って、一体何の指数なのでしょうか。おそらく、指数を計算するときには、取引停止前の数字で計算していますよね。結果的に、実態以上に指数の値が高くなっているはずです。

中国政府としては思惑通りなのでしょうが、指数を無意味にするような変更で数字を維持しても良い事なんてあるとは思えません。実情が分かる人は、ちゃんと見ているはずですからね。

もう、わけがわかりません。

これでも株価の下落を止められない

さて、これだけの事をやったのに、株価を維持するどころか、さらに下げ幅を大きくしている印象です。

株を売れないようにするという手法は、多少なりとも効果があったはずです。しかも、取引できる株を減らした上に、公的な資金で残りの株を買わせたのです。効果がないと考える方がおかしいでしょう。

それでも、大きく株価を下げています。ということは、これらの対策をしていなければ、何処まで下がったから分からないわけです。

この株価の下落はどんなふうに収束するのでしょうか。もう、ちょっと、想像することが難しくなっています。

中国が株価に神経質になる理由は何?

それにしても、中国が株価にここまで神経質になる理由は何なのでしょうか。大きな理由として一ついえるのが、中国の個人投資家は信用取引をしている人が多いからです。

信用取引をしている人にとっては、少しの株価の下落でも大きな損害につながります。ここまで株価が下がれば、私財のかなりの部分を失った人もいるでしょう。

個人が大損をすると、その不満は中央政府に向かいます。となると、治安維持の観点から、大幅な株安は避けないといけないのです。おそらく、このあたりを心配した株価操作なのでしょうね。

まあ、そもそも、私財をなげうって信用取引なんてするヤツも相当問題なのですけどね。ただの博打ですから。それでも、治安維持の観点から、株価の安定は必要だったのでしょうね。

追記:年金基金を使って株価の下支え

中国が新たな株価の下支えを始めたので、ご紹介します。今度はどんな手かと言うと、年金基金に買わせるという作戦です。

新華社通信によると、中国の年金基金の残高は3兆5600億元なのだそうです。日本円に直すと、約68兆円です。このうちの3割で株を変えるように変更するというのが、今回の作戦です。5

最大20兆円超の資金が株式市場に流入?

ちなみに、これまでは、年金基金では株の売買は禁止されていました。国債などの安全な資産での運用に限られていたのです。

ということは、現時点では、株式の保有はゼロということですね。それが3割まで変えるという事ですから、最大で20兆円を超えるお金が株式市場に入ってくる可能性があるわけです。

常識的には即効性は期待できない

でもこの変更って、即効性はあまり無いような気がします。常識的に考えると。

なぜ即効性が無いかと言うと、制度上で株式投資を認めたからと言って、基金がすぐに株式を買うわけでは無いからです。常識的には、まず、ある程度時間をかけて運用方針の見直しをするはずです。

それだけではありません。基金で株式の取り扱いを変更するとなれば、約款の変更などの手続きは当然必要になる可能性が大きいです。約款の変更となると、これまた時間がかかるでしょう。理事会を開くなどして、対応を協議しないといけません。

さらにいうと、今まで国債のような安全な資産で運用されていたのなら、現在の運用担当者はリスク資産の運用は分からないはずです。ということは、新しい運用者を雇うなり、現在の運用担当者を教育するなりが必要になります。

リスク資産の運用に明るい優れた担当者がすぐに見つかるとは思えませんから、どちらの方法をとるにしても時間がかかります。

常識が通じない国ですから、予想が付かない部分は多いです

こうやって考えてみると、基金が新たに株式投資に手を出すには、数ヶ月程度はかかるはずです。もしかしたら、1年以上かかるかもしれません。ですから、短期的な株の買い支えとはなり辛いと思うわけです。

もっとも中国の場合は、私たちの常識が通じないところも多々あります。あっという間に基金による株の取引が始まるかもしれませんけどね。

追記:ついに世界同時株安に発展| 中国経済全体の悪さが認識されているようです

ここ数日、世界同時株安が話題になっています。不安心理が広がって、ちょっと投売りのような感じになっているようですね。

例えば、2015年8月24日には、1日で8%を超えるような上海指数の大きな下げがありました。1日で8%って、中々のものですよね。6 それにあわせるように、世界中の株式指数が下がっています。

今回の世界的な株安の発端は、やっぱり中国だと考えるのが自然なのでしょうね。中国政府はありとあらゆる対策を講じてきました。株式市場のルールに明らかに違反するような、売買の禁止のようなことすらしています。それでも中国の株価が下げ止まらないのを見て、中国経済はよほど悪いのだと言うイメージが広がっているのでしょう。

世界同時株安に関して言うと、特に悪かったのは人民元の切り下げでしょう。中国はついに為替のレートを維持するのが難しくなったと判断した人も多かったでしょう。中国経済がそうとう悪い状態だと判断されたわけです。それに、人民元の切り下げをしても、なお、株価を維持することは出来ませんでした。

中国経済が実際にどの程度悪いかは、なかなか私たちには判断が難しいところです。というのも、出てくる統計がほとんど信頼されていないからです。ここ数年の7%成長なんて大嘘で、来年はマイナス成長になるのでは無いかという専門化すらいるようです。もっというと、既にマイナス成長であると主張する人すらいます。7

こんなふうに辛らつな推測をされてしまうのは、ひとえに中国政府に責任があります。なぜかというと、正しいデータが出てこないので、幅を持たせて推測をせざるをえないのです。幅を持たせるという事になれば、かなり低めの推測だって、当然出てくるでしょう。それに、信頼できる数字が出てこない以上は、安全性を考えてきびし目に見積もるのは当然です。

さらにタイミングが悪いことに、韓国と北朝鮮が軍事的に緊張状態になっています。北朝鮮のお約束の行動という感じもしないではありませんが、株式指数が下がっている今の時期は何しろタイミングが悪いですよね。

この株安の状態が続くなら、日本やアメリカ、欧州は、介入を行う必要があるでしょう。リーマンショックのときを参考にするなら、金融緩和を行う可能性が一番大きそうです。流通させる通貨の量を増やすわけですね。

でも、そうなると、困るのが中国です。今の中国は、大規模な金融緩和なんてインフレが怖くて出来ないでしょう。

余談を許さない展開になってきました。


  1. 東京株式市場も全面安 上海総合指数、3週間余りで約32%下落
    フジテレビ系(FNN) 2015年7月9日 []
  2. 中国株暴落は海外勢力の陰謀?!当局が調査班立ち上げ―中国メディア
    Record China 2015年7月6日 []
  3. 21の証券会社に5兆円規模の融資 中国
    日本テレビ系(NNN) 2015年7月8日 []
  4. 上海株の下落止まらず…中国政府てこ入れ不発 1400社超が自社株売買停止
    産経新聞 2015年7月9日 []
  5. 年金基金で株価下支え=中国政府が投資解禁
    時事通信 2015年8月23日 []
  6. 上海株大幅下落、-8.49% 3分の2以上の銘柄がストップ安に
    フジテレビ系(FNN) 2015年8月24日 []
  7. 衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている~データが語る「第二のリーマン・ショック」 日本経済の沈没を回避する手はあるか?
    現代ビジネス 2015年8月24日 []

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