最近は、住人のいない不動産が増えてきているそうです。要するに空き家ですね。
そして、それに目をつけた新しいビジネスがあるようです。どんなビジネスかというと、定期的に空き家を巡回して、状況をチェックするというビジネスです。
住宅最大手の大和ハウス工業も参入したようで、SankeiBiz の記事になっていました。1
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空き家の所有はかなりのコストがかかる
将来の予想としては、今後も空き家は確実に増えていくはずです。ですから、ビジネスチャンス有りと考えているのでしょうね。
ビジネスとしてみると、一度契約を取れてしまえば長期間にわたって売り上げが期待できるのが大きいです。月々の利用料は小さくても、長期で見ると大きな売り上げが期待できるわけです。見回る企業からするとなかなか優良な仕組みだと言えそうです。
ちなみに料金ですが、戸建ての場合は月額で9,000円、分譲マンションの場合は5,000円という設定のようです。どこまでチェックするのかは記事を見ただけでは分かりませんが、結構良い値段ですね。年額に直すと、それぞれ10万8,000円と6万円ですから。
不動産を持っている場合、これに加えて固定資産税がかかります。マンションの場合はさらに管理費やら積立金やらが必要です。そう考えると、使われていない不動産を持つのって、かなりコストがかかるのが分かります。十数万円から数十万円程度の幅で、コストがかかると考える必要がありそうです。
資産というよりも負債に近い
空き家なら収入が無くて支出だけがある状態になるわけですよね。これって、負債をもっているのと同じ意味なんですよね。
不動産を持つ事が負債を抱えるのと同じと言うのは、どういう意味なのでしょうか。それを理解するために、まずは負債とは何なのか確認してみましょう。
会計用語キーワード辞典によると、「負債」は次のように定義されています。
負債とは既に発生している支払い義務と将来の資産の減少が予想されているものを言います。
つまり、支払義務があったり資産の減少が予想されれば負債なのです。
空き家を持つという事は、それを持っている限り金銭的な支払義務を負うことになります。固定資産税を払い、マンションなら積立金と共益費を払うわけですから、その通りですよね。これは、現金や預金が減少することを意味します。
これって、資産の特徴と言うよりは負債の特徴なんですよね。こんなふうに書いても、一部の不動産が負債であることを認めたくない人はいるようです。でも、将来的に収入をもたらさず支出要因になるものは、やっぱり負債なのです。少なくとも、会計的な意味では。
相続で持ち家が3軒になる事も
こうした空き家が増える要因の一つが、相続により不動産を手に入れる場合があるからです。
例えば、長男である男性が30歳代で一人っ子である女性と結婚して家を買ったとします。そして、50歳代で自分と妻の親が死んで持ち家を残したとします。
そうすると、結果的に、都合3軒の家を持つことになってしまうのです。つまり複数の持ち家を持つと言うのは、全く珍しいケースではないのです。一つの家庭は一軒の家に住むはずですから、空き家が増えるのは当然です。
まあ、それでも、夫婦の両方が持ち家を相続すると言う確率はそれほど多くないのかもしれませんけどね。でも、夫婦のどちらかが不動産を相続するケースなら、相当多いはずです。
核家族化が進めば、空き家が増えるのは当然なのです。もちろん、供給が多すぎて貸り手が見つからないと言う事情も大きいのですけどね。
貸すことが出来ないのなら売ってしまうほうが合理的
空き家になった不動産を空き家のまま放置しておくのは、どう考えても賢明な選択とは言えないでしょう。コストがかかるだけで、メリットは一つもありません。
ですから可能であれば、人に貸す方が望ましいはずです。問題は、自分の持ち家を貸すのが、以前よりも難しくなっているという点です。
貸しやすくなった部分もある
以前は、一度不動産を貸してしまうと、住民に居座られるというリスクがありました。ですから、不動産を貸すことに二の足を踏んでいた人もいたはずです。
でも、定期借家契約と言うのが出来てからは、期限が来たら確実に出て行ってもらうことが出来ます。ですから、貸せる物件なら貸してしまっても問題は無いはずです。少なくとも、お金を出して見回ってもらうよりは、よほどメリットがあるでしょう。
貸すのが難しくなった
ただ、貸すこと難しい物件と言うのは存在します。最近は居住用の不動産が余っていますから、貸すこと自体が難しくなっているという側面はあります。
立地がいい物件なら、それでも、賃料さえ下げれば借り手は見つかるでしょう。しかし、立地が悪いと賃料を下げても借り手が見つからない事も多いようです。
売ってしまった方が合理的かも
そういう物件を持っていると、年間十数万円から数十万円を使って維持しないといけません。しかも不動産を持っている限り、その状況が続くのです。
だったら、二束三文でも売ってしまった方がメリットがあるでしょう。その土地が再開発の対象にでもならない限り、資産価値が上がることは考えにくいですからね。
相続した物件は売りにくいのかも
でも、相続して自分の物に成った物件は、簡単に売るのが難しいのでしょうね。
相続した不動産と言うのは、かつて自分が住んでいた場所だったりします。ですから、まず、心理的な抵抗があり売りにくいというところはあるでしょう。
あるいは、兄弟姉妹がいる場合も、心理的に抵抗はありそうですよね。誰も住んでいない家とは言え、兄弟姉妹が過去に住んでいた家だと思えば、簡単に処分するわけにはいかないでしょう。
さらに言うと、実家がその土地に長く暮らしていたような過去があると、売りにくかったりするでしょうね。先祖代々の土地と言うような思い入れがある場合も多いでしょうから。
もちろん、既に自分の物になっているわけですから、思い切って処分してしまえば良いのだとは思います。兄弟姉妹に関しても、コストがかかる状況が分からないわけでは無いでしょう。ですから、説明さえすれば売却は納得するはずです。よほど兄弟間の仲が悪いような場合は別でしょうが。
まあ何にしても、相続した物件と言うのは、精神的に超えないといけない大きな壁があるのは事実でしょう。それを超えられない人は、なかなか売却できず、コストを払い続けることになります。
既にかなり余っているのでしょうね
そもそもこんな巡回ビジネスが流行っている裏には、居住用の不動産が既に余っているという事実があるのでしょうね。実際、記事の中では、次のような指摘がされています。
空き家は転勤や相続などをきっかけに生じるが、核家族化や少子高齢化の進展で近年急増。総務省によると、全国の空き家戸数は2013年時点で820万戸あり、空き家率が13.5%と戸数とともに過去最高の水準となった。今後も空き家は増え続けるとみられ、野村総合研究所は23年に空き家は1397万戸、空き家率は21%に達すると予測している。
2013年の段階で既に13.5%が空き家という事なんですね。大雑把に言って、7軒から8軒に一軒は空き家というのが現状です。そうやって考えると、かなり多いと思って良いですよね。
そして、それ以上に驚きなのが、2023年には空き家率は21%に達するという良そうです。5軒に1軒は空き家という事になります。
空き家が増えると治安の上でも問題ですし、戸建ての空き家だと景観を損ねるという問題もありそうです。社会的に大きな問題ですよね。自分の家の近くに、古い空き家があるなんて、出来れば避けたいものです。
もちろん、個人の問題としても大きな問題です。1,397万戸の空き家があるということは、1,397万人が住んでいない住宅に固定資産税を払っているということですよね。国民の10%程度は、住んでも貸してもいない不動産に固定資産税を払っていることになります。
まあ、厳密に言うと、複数軒の空き家を持っている人もいます。実際に空き家を持っている人は、もう少し少なくなるのでしょうけどね。
それにしても、1,000万人前後の人が、住まない家に固定資産税を払うということですね。何とも、馬鹿馬鹿しい話です。そして、それよりちょっと少ない数の人が、住んでいないマンションの管理費やら積立金を払うわけです。
もう、もったいないと言う言葉しか出てきません。はっきり言って、ただの無駄遣いです。
それでも家を買うのか?
今回紹介したような状況は、今後はさらに悪くなっていくでしょう。人の数が減っていくのは確実ですし、マンションの供給が減ったと言う話もありません。人が少なくて住居が多ければ、空き家が増えるのは必然ですよね。
ということは、持ち家であることが、将来的な重荷になる可能性も否定できないのです。貸すに貸せず、固定費だけは毎年かかるという状況になる可能性も小さくないのです。
将来親から相続をする可能性も小さく、その家に住み続けるという覚悟があるのなら、購入するのは必ずしも悪いことでは無いとは思います。でも、資産として大きな期待はしない方が良いかもしれませんね。
また、不動産の価値と言うのは、立地によるところが大きいようです。立地さえ良ければ、多少古い物件でも入居者が集まりやすいですからね。ですから、どうせ買うのなら、最低限立地にはこだわりたいものです。
立地以外でも、将来を見越して価値が落ちづらい物件を買うという意識は必要でしょうね。本当のゴミになってしまう可能性も否定できません。
何にしても、資産だと思って不動産を買うのは避けた方が良いでしょう。状況次第では、利用価値が無いのに出費がかさむ金食い虫になる可能性もあるという事は理解して置くべきです。そして、そういう状態になったときに、どうやって処分するかまで考えておくのが望ましそうです。
- 「空き家ビジネス」増える背景 最大手・大和ハウス参入で市場さらに拡大か
SankeiBiz 2015年5月18日 [↩]
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