ローンを借りている人が悩むことの一つに、ローン返済と貯蓄のどちらを優先させるべきかと言う問題があります。これを読んでいるあなたも、そうかもしれません。
もちろん、損得だけを考えると、ローン返済を優先させるべきでしょう。その理由は簡単で、貯蓄の金利よりも、借金の金利のほうが大きいからです。
ですから、貯蓄性の金融商品の積み立てをしている人は、今すぐにでもローン返済に切り替えるべきなのです。絶対に得なのですから。
ただ、どの程度の差があるのかはよくわかっていない方も多いようです。そこで、まず、どの程度の差が出るのか、簡単に計算してみました。
どの程度の差が出るのだろう?
ここでは2つのケースについて、比較してみましょう。
まず、前提として、1,500万円の住宅ローンを借りた人が、毎月一定額返済していくことにします。ローンの金利は年利3%、貯蓄の金利は年利1%とします。
その上で、次のような条件を起きます。
ケース1:毎月7万円返済
ケース2:毎月5万円返済し、2万円貯蓄
家計の負担としては、毎月7万円と同じです。つまり、「どこにお金を出したか」の違いしかありません。
さて、このケースでは、次の表のような結果になりました。
月7万円返済 | 月5万円返済2万円積立 | |||
ローン残高 | 差引残高 | 貯蓄額 | ローン残高 | |
1年目 | 1461.0万円 | 1461.0万円 | 24.0万円 | 1485.0万円 |
2年目 | 1420.8万円 | 1421.3万円 | 48.2万円 | 1469.6万円 |
3年目 | 1379.5万円 | 1380.9万円 | 72.7万円 | 1453.6万円 |
4年目 | 1336.8万円 | 1339.8万円 | 97.4万円 | 1437.2万円 |
5年目 | 1292.9万円 | 1297.9万円 | 122.4万円 | 1420.4万円 |
6年目 | 1247.7万円 | 1255.3万円 | 147.6万円 | 1403.0万円 |
7年目 | 1201.2万円 | 1211.9万円 | 173.1万円 | 1385.1万円 |
8年目 | 1153.2万円 | 1167.8万円 | 198.9万円 | 1366.6万円 |
9年目 | 1103.8万円 | 1122.8万円 | 224.8万円 | 1347.6万円 |
10年目 | 1052.9万円 | 1076.9万円 | 251.1万円 | 1328.0万円 |
11年目 | 1000.5万円 | 1030.3万円 | 277.6万円 | 1307.9万円 |
12年目 | 946.5万円 | 982.7万円 | 304.4万円 | 1287.1万円 |
13年目 | 890.9万円 | 934.3万円 | 331.4万円 | 1265.7万円 |
14年目 | 833.6万円 | 885.0万円 | 358.7万円 | 1243.7万円 |
15年目 | 774.6万円 | 834.7万円 | 386.3万円 | 1221.0万円 |
16年目 | 713.9万円 | 783.5万円 | 414.2万円 | 1197.6万円 |
17年目 | 651.3万円 | 731.2万円 | 442.3万円 | 1173.6万円 |
18年目 | 586.8万円 | 678.0万円 | 470.8万円 | 1148.8万円 |
19年目 | 520.4万円 | 623.8万円 | 499.5万円 | 1123.2万円 |
20年目 | 452.1万円 | 568.5万円 | 528.5万円 | 1096.9万円 |
21年目 | 381.6万円 | 512.1万円 | 557.7万円 | 1069.9万円 |
22年目 | 309.1万円 | 454.6万円 | 587.3万円 | 1041.9万円 |
23年目 | 234.3万円 | 396.0万円 | 617.2万円 | 1013.2万円 |
24年目 | 157.4万円 | 336.2万円 | 647.4万円 | 983.6万円 |
25年目 | 78.1万円 | 275.3万円 | 677.8万円 | 953.1万円 |
表をごらんいただけるとわかると思いますが、25年目には毎月7万円返済したケースでは残り78.1万円までローンを減らしています。一方、5万円返済し2万円貯蓄したケースでは、ローンから貯蓄を引いた分がまだ275.3万円もあります。
要するに、7万円すべてをローン返済に充てたほうが、200万円ちかく得なのです。1,500万円のローンの返済で、200万円も差が出るとしたら、すごいことだと思いませんか?
ちなみに、上の表は作成の都合上、簡便な計算方法をとらせていただきました。要するに、実際とはちょっとずれがあります。
まあ、傾向を見るには十分だと思っています。
金利の高いローンだと、さらに影響は大きい
今回は、ローン金利と貯蓄の金利の差が2%だったので、200万円くらいの差で済んでいるという言い方もできます。
リスクをとらない貯蓄を考えるのだとしたら、1%の金利で運用するのは難しいことです。例えば、10年物の国債の金利でも1%台ですが、インフレを考えるとこれも安全とはいえません。
さらに、長期ローンだと3%では収まらないかもしれません。そう考えると、一部返済にまわすと言う方法は、さらに不利な事がわかります。
もっと言うと、消費者金融などの金利の高い商品では、さらに影響が大きいでしょう。ローンと貯蓄の金利差があればあるほど、返済に重点を置くべきなのです。
一定額は預貯金で持ち、それ以外は返済へ
できるだけ多くローンの返済にまわすと言っても、いざと言う時のたくわえまで返済にまわしてしまうのは考え物です。突然の失業や病気などにより、生活に困ってしまう事態も考えられますよね。
ですから、ある程度のお金は預貯金として持ち、それ以外はローン返済に充てるという方向で考えてみてはいかがでしょうか。日本の社会保障の現状を考えれば、おそらく生活費3か月分くらいあれば、当座をしのぐことはできるでしょう。
ですから、100万円とか200万円程度は預貯金として持ち、残りはローンを返済するという考え方をとるのが良いでしょう。
企業や個人事業主の場合は借金は必ずしも悪いものでは無い
最後にちょっと余談です。
上で見たように、一般の個人の場合は借金はさっさと返してしまった方が良いのは間違いありません。ただ企業や個人事業主の場合は、必ずしも借金が悪いとはいえないようです。なぜかと言うと、借金をすることで売り上げや利益を大きく出来る可能性があるからです。
借り入れをして新しい店舗を作ったり、工場に新しい機械を入れたりすると、売り上げや利益を大きくすることが出来ますよね。そうすると、支払う利息以上のメリットがある場合も少なくないわけです。つまり、いい借金と言うのも存在するわけです。
また、企業や個人事業主の場合は、手持ちの現金や預金に余裕を持たせておくことが肝心です。現金や預金を持っていないと、諸々の支払が滞り、黒字でも倒産という可能性も否定できません。ですから、まず借金を返すと言う指針は必ずしも正しくは無いわけです。
サラリーマン家庭のように単純に考えることは出来ないわけです。
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率直に言って、これだけで十分なお金の知識が身につくとは言えません。でも、知らないよりはずっと合理的な判断ができるはずです。
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あ、もちろん、興味があれば資格にチャレンジしてみるのも悪くないと思います。3級なら特に受験資格も必要ありませんし。

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