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東電の原発事故から学ぶ個人としてのリスク管理

福島の原発事故は、リスク管理の大切さを教えてくれます。
今回の事故とは直接関係のない業種でも、実例として参考になるでしょう。

例えば、次のようなことです。

・予見可能なリスクに対して、事前にどんな事に備えておかないといけないのか
・想定外のリスクに対して、どう対応すれば良いのか

もちろん、こんなことはどこの会社でもやっているでしょう。
ただ、リアリティの無い計画だと役に立たないということを、今回の事例は教えてくれているような気がします。

従業員の家計もリスク管理上の問題にさらされている

さて、東電の原発事故でリスク管理が必要なのは、経営サイドだけではありませんでした。
報道されることはありませんが、従業員の生活という意味でも、リスク管理上の問題が起こっているようです。

具体的に言うと、家計のリスク管理です。

今回の事故があった事で、人生設計が大きく狂う従業員もいるかもしれません。
今の時点では、今後の展開次第ですけど。

従業員は家計に関するリスクを正しく認識しておかないと、企業のトラブルで生活が脅かされる恐れがあります。
この機会に私達も認識を新たにしておきたいものです。

今回、具体的にどんな問題が起こったのでしょうか?

従業員持ち株会とは

株式上場している企業の一部では、従業員持ち株会というのが存在します。

これはどんな仕組みかというと、従業員が毎月一定額ずつ自社株を買っていくという仕組みです。
給与などから一定額が天引きされ、そのお金で勤務先の会社の株式が買われるのです。

要するに銀行の定期預金の積立と同じ仕組みです。
定期預金の積立では毎月一定額を預金しますが、従業員の持ち株会は毎月一定額分の勤務先の株式を買うわけです。

投資に詳しい方は、株式るいとうと同じ仕組みだと言った方が分かりやすいかもしれません。

もちろん、東電にも持ち株会があります。

企業にとってメリットが大きい持ち株会

持ち株会という仕組みは、会社にとってはメリットのある仕組みです。
なぜかというと、従業員が一定数の株式を持つ事で、他社が買収をしにくくなるからです。

また、従業員が勤務先企業の株式を持つ事で、企業への忠誠心が高まるとされています。
普通に働いている人以上に、企業に愛着がわくという事でしょう。

従業員にとっては微妙な制度

しかし、従業員持ち株会という仕組みは、従業員にとっては微妙な制度です。
なぜかというと、従業員の会社への経済的な依存度を必要以上に高めてしまうからです。

持ち株会を利用する人は、老後資金を蓄える方法の一つとして使うことが多いようです。

毎月貯めていく事で、退職する頃にはかなりの株式を持っている事になります。
それを売却して、老後資金として使うという考え方ですね。

ただ、これはとてもリスクが高いやり方なのです。
なぜかというと、これだと自分の将来を全て企業にゆだねてしまうことになるからです。

会社に依存しすぎるのは危険

例えば、Aさんが勤務先の持ち株会に入っているとします。
しかし、残念ながら、勤務先企業の業績が著しく悪くなったとしましょう。

このとき、Aさんの給与は減らされる可能性が高いですよね。
業績あったの程度に余盛りますが、人件費の削減は考えられるオプションの一つです。

これはAさんにとってはダメージです。
ですが、Aさんのダメージはこれだけではありません。

Aさんが持ち株会を通して買った株式に関しても、損をすることになるでしょう。
なぜかというと、Aさんが持っている株式の価値も、会社の業績と一緒に悪くなるのは必然だからです。

Aさんは給与が減り、持っている資産の価値も落とすことになるのです。

さらに業績の建て直しが出来ずに、企業が倒産してしまったとしましょう。

この場合、Aさんは職を失う可能性があります。
さらに、持ち株会を通して買った株式の価値も、おそらくゼロになるでしょう。

持ち株会に入るということは、退職後の資産形成も会社に依存する事になります。
全てをゆだねてしまうのは、危険すぎます。

思い出すのはエンロン

勤務先の株式を買って将来が狂った例としては、アメリカのエネルギー会社エンロンが有名でしょう。

エンロン従業員も、エンロンの株式を大量に持っていた人が多かったようです。
しかし、あれだけの大企業が一瞬にしてなくなってしまいました。

エンロンの場合は、401Kという私的年金のプランを通して投資していました。
老後の資金のためという意味では、持ち株会と同じですね。

テレビのインタビューか何かで、「老後の計画が狂ってしまった」とか「死ぬまで働かないといけない」といった従業員の嘆きが紹介されていました。

勤務先の企業を信頼しすぎることは、危険なことなのです。

東電社員も似たような状況

現在、気が気でない思いをしてるのが、持ち株会に入っている東京電力の社員でしょう。
彼らは既に、東電株で相当損をしています。

今後国有化となると、株の価値がゼロになる可能性も有ります。
その上、給与が減らされる可能性もありますからね。

心穏やかではないでしょう。

現在、政府は東電を国有化させないと言っています。
しかし、世論次第ではその可能性がなくなったわけではありません。

政府は被害者に対して、空手形をきり続けています。
最終的に数兆円単位の国費負担となったときに、企業としての東電の存続を国民が納得しない可能性も高いと思うのです。

国費負担ということは、結局は税金で負担するわけです。
数兆円負担ということは、国民一人当たり数万円の負担です。

国民一人一人が具体的な負担額を認識したときに、かなり強い反発が予想されます。
そうなると、内閣の方針もまた揺らぐのではないかと思われます。

卵を一つのかごに入れるな

投資の世界では「卵を一つのかごに入れるな」という格言があります。

卵というのは、自分の大事なものの事をいいます。
つまり財産のことです。

一つのかごに入れるというのは、一つの金融商品に投資するという意味です。
例えば、1社の株に全額を投資するような行為です。

株を買うなら複数の株を買うのが良いし、出来れば債券などにも幅広く投資しましょうという教えです。
こうする事で、大怪我をする確率を減らすことが出来ます。

しかし、持ち株会に入っている東電の社員は、このリスクを犯してしまったわけです。
給料を支払ってくれる勤務先と、投資の対象を一緒にしてしまいました。

東電というかごが壊れてしまえば、両方を同時に失う可能性があるのです。

東電の社員はどの程度損をしたのか?

ところで、従業員持ち株会に入っている東電の社員はどの程度の損をしたのでしょうか?
正確なところは分かりませんが、概算で見積もってみましょう。

20歳から東電で働く50歳の社員を想定してみましょう。
そして、この社員が毎月1万円ずつ持ち株会を通して東電に投資したとします。

30年間ということは、360ヶ月有りますから、投資額としては360万円です。

Yahoo! ファイナンスで調べた範囲では、一番古い株式のデータは1983年1月のものでした。
その頃の株価が大体1,000円位でした。

その後バブルで株価が7,000円くらいまで上がり、バブル後は2,000円から4,000円くらいの間で推移しています。

毎月一定額を積立てたとすると、おそらく、原発事故前の段階でも投資額よりはちょっと損をしている感じでしょう。
計算したわけではないので感覚的な問題ですが。

震災があった日の東京電力の終値が2,121円でした。
それが、2011年4月18日の時点で469円まで下がっています。

ということは、震災により株価が22%まで落ち込んだということです。

仮に、原発事故前の段階で、360万円の投資が250万円になっていたとしましょう。
250万円の22%ですから、55万円です。

ということは、毎月コツコツ360万円も貯めてきたのに、55万円まで減ってしまったわけです。
しかも、今後のリストラにより解雇や給与が減らされる恐れすらあるのです。

一つのかごに卵を入れるリスクが大きいのはお分かりいただけるでしょう。
大雑把ですが、感覚はつかんでいただけたと思います。

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