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東電の倒産・国有化は回避されるのか?株価が500円を回復

何回か書いている東電の倒産問題の続きです。

東京電力の株価が、大分戻ってきたようです。
2011年4月11日の終値で500円まで回復しています。

瞬間的にですが、一時は300円を割り込んでいました。
そこから考えると、大分回復したと言って良いでしょう。

もちろん、震災前の2,000円台から比べると、まだ四分の一以下ですが。

東電投売りの理由は、もちろん、東電に倒産懸念があったからです。
それにパニック売りのようなものも加わり、一気に株価を下げました。

それが「300円 → 500円」と値を戻したわけです。
これは東電の倒産懸念が去ったということなのでしょうか?

政府に生殺与奪の権を握られている東電

以前触れたように、損害賠償なども含めた東電の損害4兆円を超える場合は東電は国有化される事になるようです。
これは高橋洋一氏の解説による以下の記事を読んでください。

http://tameru.family-budget.net/2011/04/05/630.html

そして、損害額を決定する重要なポイントは、政府の決断次第だと解説もされています。
高橋氏によると、原発事故による東電の最終的な損害額は政府の意向次第で左右されるそうです。

政府が東電の首根っこを握れる理由

なぜ、政府の意向が東電の損害額に関係するのでしょうか?
ちょっと複雑ですが、順を追って説明しましょう。

今回の原発事故での損害賠償の負担は、原則的には東電が負います。
なぜかというと、原発事故による被害者は、電力会社に損害賠償を請求すると、法律で決められているからです。

つまり、被害を受けた周辺住民は東電にしか損害賠償を請求することは出来ません。
直接国や県などに請求することは出来ないのです。

ちなみにこれを決めている法律は、具体的に言うと、原子力損害賠償法という法律です。

しかし同法によると、政府は東電に対して経済的な援助をすることも可能だとされています。
具体的に言うと、損害賠償の一部を肩代わりすることなどが出来るのです。

なぜこういうことが決まっているかというと、賠償が大きすぎて東電が支払えない懸念があるからです。

電力会社が賠償金を支払えないと、被害者が困ってしまいます。
そういうケースを防ぐため、最終的には国が後ろ盾になり、被害者を救うという考え方を取っています。

ということは、政府が東電の負担をゼロにしたいと思えば、全額ゼロにすることも可能です。
政府が全額を肩代わりするということも、可能だからです。

実際に、電力会社が責任を負わない場合があることも、同法に定められています。

逆に、東電を国有化したいと思えば、それもまた簡単です。
損害賠償の東電の負担割合を大きくしてしまえば良いのです。

そうすると、東電が経営に行き詰まり、国有化という流れになります。
要するに、東電がどうなるかは、政府の意向次第だということです。

破産すらしていない一民間企業の存続が政府にゆだねられているというのは、ちょっといびつだと思います。
しかし、法制上はそういうことになっています。

経済問題というよりは政治問題に

ここから分かるように、東電が破産するかどうかは経済問題ではありません。
政府の意向で損害が決まるのですから、経済とはまったく別の話です。

むしろ、政治問題だといって良いでしょう。

繰り返しますが、賠償金を決めるときの内閣が、東電は潰した方が良いと思えば、破たん処理として国有化という流れになります。

そしてこの場合は、当然、減資をされます。
減資というのは、株主の取り分を減らすことです。

おそらく100%の減資になるでしょうから、株主の権利は全く残らないでしょう。

逆に、東電を民間企業として生かしておくことも可能です。
損害賠償における東電の責任を、限定的なものにすれば良いのです。

例えば、損害賠償のお金は最終的に政府が出すと決めてしまえば良いのです。
こうなれば、東電の国有化は回避されます。

東電が破産するかはひとえに政府の意向次第ということなわけです。
その意味で、経済問題というよりは政治問題になってしまっているのです。

政府の判断は世論に強く影響されるだろう

実際のところ、政府は最終的にどのような決断をするのでしょうか?

世論が東電に対して相当厳しい場合は、政府は東電を国有化する方向に舵を切るでしょう。
「東電はけしからん、こんな会社潰してしまえ」とか「東電に金を入れて救済など許さん」という人が多くなれば、倒産させるという方向に向かいます。

世論に逆らって東電の存続を決めるのは、大変エネルギーがいることです。
今の政府を見ていると、厳しい世論に流される気がしてなりません。

しかしながら、世論がそれほど厳しくない場合は、東電を国有化せず民間企業として残すという選択をするでしょう。

現在の世論は東電にとって、大変厳しいものです。
しかし、時間がたって世論が落ち着いてくれば、国有化回避という可能性も捨て切れません。

日本人の熱しやすく冷めやすい特徴を考えれば、損害賠償の具体的な話をする頃には関心が薄くなっている可能性も高い気もします。

ちなみに、閣僚からは国有化に関しては色々な発言があります。
国有化すべきという発言も、国有化は必要ないという発言のどちらもあるようです。

内閣としては、態度を決めかねているといった感じなのかもしれません。

政府は東電を国有化に追い込んでいるのではないだろうか

これはあくまで個人的な想像ですが、政府は意図しない形で、東電を国有化に追い込んでいるのではないかという気がしています。

なぜそういう風に考えるかというと、政府は東電をスケープゴートとして利用しているように思うのです。
東電を犠牲にして、原発に関して自己保身を図っているように見えるのです。

具体的に言うと、政府は「この問題に関して悪いのは東電で、政府はそれを厳しく指導している」というポーズを取ろうとしています。
そうすることで、世論をかわす事を狙っている気がします。

あくまでも、想像ですけどね。

そして、このことに関して、東電は反論することは出来ません。
東電の運命は政府に握られているわけですから、はむかえるはずがありません

何にしても、こういう事を続けていると、東電への世論が厳しくなることは間違いありません。
記者会見で東電を攻めれば、当然東電への風当たりは厳しくなります。

東電を潰そうという明確な意図が現在の政府にあるとは思っていません。
それでも政府自身の行動により、東電は国有化という流れを作ってしまっているようにも思えます。

労組も重要なファクターか

ところで、東京電力の社員の多くは、東京電力労働組合という労働組合に入っています。
この東京電力労働組合というのは、電力総連という電力系の労働組合に加盟しています。

そして、電力総連というのは、民主党を支持しています。
民主党と連合の関係は良く知られているので、不思議でも何でも無いですけどね。

電力総連は、今回の統一地方選でも明確に民主党支持を謳っています。
これは電力総連のホームページを見れば明らかです。

東京電力が一時国有化という事になれば、労働組合にとってはよくないニュースであるのは間違いありません。
破産するということは、リストラを迫られる可能性があるからです。

リストラということは、給料を減らされたり、首を切られたりという可能性があります。
具体的に東電国有化という動きになったら、何らかの反対があるかもしれません。

そうなったときに、民主党は国有化に踏み切れるのでしょうか?
連合にべったりの今の政府を見ていると、労組系の支持団体の意向に反することが出来るとは思いにくいです。

もっとも、通常の経営が悪くて国有化されるわけではありません。
ですから、従業員数や給与を減らすリストラはない可能性もありますけど。

ちなみに、最近の国有化というとJALを思い出しますが、JALのケースは全く違います。
JALのケースでは、労組は事前にどうすることも出来ませんでした。

なぜかというと、JALの場合は自分で勝手に破産して、会社更生法の適用を申請しています。
労組としては、事前に策を弄する何かをすることは出来なかったはずです。

その意味で今回の国有化問題は、労組と政府の関係という微妙な問題を含んでいます。
これは興味深い点です。

倒産の可能性はまだある

こうやって考えると、倒産する可能性も、倒産しない可能性もどちらもありそうに思えます。
株価は回復しつつありますが、破産という可能性がなくなったわけでは無いと思うのです。

実際に破産させて国有化するかどうかは、損害賠償が決まる段階になった時の政治状況次第なのでしょう。
一民間企業の運命が政治の道具に使われるのは、何とも納得が行かない部分はあります。

まあ、電力会社というのは特殊な会社ですから、ある程度は仕方が無いのかもしれません。

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