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国有化検討は良いんだけどさ、どうやんの?

国が東京電力の国有化に関する検討に入ったそうです。
株式の半分以上を取得し、経営権を握る事を考えているのだとか。

■ 東京電力の一時国有化案、政府内に浮上
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110329-00000042-yom-bus_all

東電が発行した株式の半分以上を国が買い取れば、東電の経営権を握ることが出来ます。
そうすれば、国主導で損害賠償および再建できると言うわけです。

国が保有するとなれば、賠償のための借入もしやすくなるでしょう。

でも、具体的にはどうするのでしょうかねえ?
ちょっと分からないなあ。

そこで、色々考えてみました。

東京電力に新株を発行させるとか?

経営権を握るとなると、株式の過半数を取得する必要があります。
となると、国が東電の増資を引き受けると言う方法が先ず思いつきます。

手順としては、まず、東電に現在の発行済み株式以上の新株を発行させます。
そして、それを国が買い取ります。

こうする事で、事実上の国有化が出来そうです。
そのうえ、国の増資分は現金として東電に渡りますから、損害賠償に回すことも可能です。

増資分を賠償に回せることなどを考えると、この手順が一番合理的に思えますね。

ただ、東電は現在のところ倒産したわけでも何でもありません。
その状態で国が介入して新株を発行させるなんて出来るのでしょうか?

普通に考えると、無理そうなのですけど。
一企業に無理やり増資をさせるとしたら、経営権の侵害だし、新たな立法も必要でしょう。

強制的に資本注入と言うのはありうるのでしょうか?

そういえば、リーマンショックのときのアメリカでは、頻繁に見られましたね。
あの時は、優先株を使ったのかな?

日米の違いは有るし、金融と電力を一緒には考えられませんが、可能性としてはあると言うことかもしれません。
今回は、民主党政権は経営権も握りたいようですから、普通株になりそうです。

市場から買い取るのか?

経営権を握るだけなら、市場から株式を買い取ると言う手があります。
これが一番障害の少ない方法でしょう。

具体的には、株価が落ち着いた後に、TOB のような形で取得するのでしょうか?
ある種の企業買収だから、そう考えるのが自然ですね。

この場合は、どの程度のコストで経営権の取得を実現できるのでしょうか?

東電の発行済み株式数は1,607,017,531株です、この半分を取得するなると803 508 766株を買わないといけません。
現在の株価は約700円ですから、この価格で取得すると、6千億円以下で取得可能と言うことになります。

この数字は現実的なような、そうでもないような…。

国費としては、可能な額であることは事実ですよね。
でも、国民の理解を得るのは難しそうな気もします。

「そんな無駄金を国は使うのか!」みたいなヒステリックな反応は必至でしょう。

あと、そもそも国が一企業の株式を買うと言うスキームがあるのかどうかも、良く知りません。

100%減資なんて出来んのか?

もう一つの方法として、100%の減資をして国有化というのも考えられます。
要するに、株主の持つ株の価値を一旦ゼロにして、国の資本を入れて再建するのです。

ネットを見ていると、「100%減資して…」などと当たり前のように語られています。
既にそれ以外は方法が無いと思い込んできる人もいるようです。

でも、実際問題として、そんなことが出来るのでしょうか?

もちろん、東京電力がギブアップして、助けてくれと求めれば有りうる話でしょう。
ただ、東電から求めない場合は、そもそも減資のしようがありません。

賠償額が多額になれば、東電から国の援助を求めてくることもあるでしょう。
ただ、その場合は、ある程度賠償額が確定した後ですよね。

そこまで国が何も手を打たないなんて事が可能だとも思えません。
こう考えると、減資は難しいと思われます。

倒産してもいない会社に無理やり減資をさせるなんて強権的なことは、さすがにやらないとはずです。

100%減資ということは、損害賠償も値切るの?

もう一つの問題点として、100%減資の場合、東電の現在の債務をどうするかという問題があります。

「倒産 → 再建」という手順をとる場合、借金の一部棒引きを求める可能性もありますよね。
例えば、1兆円借りていたら、「5千億円にまけてよ」などとお願いするのです。

株主にだけ100%の減資をさせ、銀行からの借入や、社債はそのままと言うのでは不公平感があるでしょう。
株主だけが責任を取らされるというのは、株主にも納得できないはずです。

ところで、将来の損害賠償は、債務の一部と考えることが出来ます。
銀行などの金融機関に借金の一部を棒引きにするのなら、損害賠償の支払いも全額は出来ないとも考えられます。

こんなことになると、本末転倒ですよね。
この矛盾をどうするのかしら?

借金の棒引きは求めない場合が多いらしい

もっとも、国有化という方法では、社債などには手をつけないことも多いようです。
知らなかった。

国有化というシナリオはデットのリストラクチャリングは通常伴わないため、社債権者にはプラスとの思惑もくすぶる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110328-00000939-reu-bus_all

社債や借金はそのままと言う可能性もあるのですね。
ここはクリアできそうですね。

株式を市場から買うのが一番なのか?

以上のように考えると、仮に国有化するのなら、株式を市場から買い取ると言う方法が現実的なのではないでしょうか。
東電が倒産したわけでもなんでもないという現状を考えれば、この方法が一番自然です。

あとは、東電とネゴって、新株を発行させると言う方法かなあ。
おそらく1.5から2兆円有れば、事実上の国有化が可能です。

損害賠償の額を考えると、国は結局数兆円程度のお金は出さないといけない可能性はあります。
なぜなら、国有化しない場合でも、東電に貸付をしないといけなくなるからです。

その意味では、金額的にも妥当なものに思われます。
もっとも、この方法の場合、東電が応じるかどうかという問題は残ります。

あとは強制的に注入するかですね。

経営権を握れば融資も受けやすい

国が経営権を握れば、資金の調達はしやすくなるでしょう。
これは国有化の大きなメリットの一つです。

東電が実際に賠償金を払うとなると、何れにしろ国はお金を東電に貸し出さないといけない可能性が高そうです。

今回の損害賠償は、最終的に数兆円規模にのぼる可能性があります。
普通に考えると、数兆円のお金を借りるとなれば国からでしょう。

国有化している場合は、こういった貸し出しもしやすいはずです。
また、国有化したとなれば、民間の銀行からも借り安くなるかもしれません。

こういった信頼感が増すのは、国有化のメリットだと思います。

国有化しなくてもお金は借りられる

しかし、国有化しなくても、お金を借りることは可能かもしれません。

そもそも、賠償が大きく電力会社が支払えないとき、国は援助を行うと法律で決まっています。
原子力関係の賠償のためには、国は電力会社に貸し出すことができると言う仕組みがるのです。

http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/faq/1261359.htm

確かに、国が経営権を握った場合、倒産リスクが大幅に減ります。
ですから、このようなスキームもさらに利用しやすくなるでしょう。

しかし、国有化は必須ではないのです。

また、実は、民間からの融資がある程度可能なことは、既に分かっています。
その証拠に、三井住友銀行などが、総額で2兆円の融資を既に決めています。

■ 東電への2兆円緊急融資、3メガ銀行など相対方式で全額実行へ=関係筋
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20195720110323

民間融資の不足分を国に借りるような形にすれば、国の援助は限定的なものになるでしょう。
少なくとも、現時点では、すぐに経営的に行き詰まるとは思いにくい状況です。

民主党政権は勝手に約束しているけど…

ところで、最近のニュースを見ると、民主党はどんどん空手形をきっているようです。
農産物などの被害に対して、何でもかんでも補償するといっています。

これって、許されることなのでしょうか?
はなはだ疑問に思っているのですが。

というのも、今回の件で賠償責任を負っているのは、東京電力です。
国ではありません。

お金を出さない人が、賠償を約束してくるって、変な話ですよね。
こういうのは、東電を国有化するか、東電への融資を決めるかした後じゃないと、マズイと思うのですけど。

空手形をきっている大臣は、仕組みが分かっているのでしょうか?
変なの。

法律どおり解釈すれば、賠償額は被害者と東京電力の話し合いで決まるはずです。
国が空手形を切ったところで、その通り賠償されるかどうかは分からないのです。

読めない民主党ファクター

ここまでだらだらと書いてきましたが、個人的には今すぐの100%減資は難しいと思っています。
あるていど損害賠償が確定する前に、東京電力が「助けてください」と言い出すとは思えないのです。

ただ、民主党政権というのは、正直に言って不確定要素に思えてなりません。
常識では出来ないと思っていた事を、平気でやってきそうな気すらするのです。

今回の場合で言うと、「東電は100%減資をし、金融機関は借金を一部棒引きにし、損害賠償は全額支払う」などと言い出しそうです。
まさかとは思いますけどね。

国有化しても経営再建が出来ないリスクだってある

最初の記事によると、民主党政権の関係者は、「国有化し、再生した上で資本を調達して民営化」というプランを持っているようです。
でも、こんなことは可能なのでしょうか?

国が手を入れると再生できると言うのは、どんな自信なんでしょうかねえ?
ただでさえ借り入れが多い会社が、数兆円規模の借入をするわけです。

たとえ100%減資をしたとしても、社債や借り入れは丸々残ります。
彼らはどんな形をイメージしているのでしょうか?

電気料金の引き上げなどが無ければ、とてもではありませんが早期の再建は難しいでしょう。
そうでなければ、本当に100%減資と借金の棒引きを求めるしかありません。

あるいは、国営化してみたものの上手く行かず、税金投入と言う可能性だってあるでしょうね。

この部分が明らかになる前に、安易に国有化といわれても、困ります。
国有化する事で、結果的に、国民負担が増えることも十分に考えられます。

最初から国費で払ってしまう方が懸命だと思う

さて、最後に結論めいた事を書いておきましょう。

結局のところ、東電が損害賠償に応じるということは、国は何らかの負担をせざるを得ません。
原発事故の被害者に、損害賠償を払えないということはあってはならないのです。

そして、電力会社が賠償に応じられ無い場合は、国は援助をしないといけないという決まりもあります。

http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/faq/1261359.htm

さらに言うと、「異常に巨大な天変地異又は社会的動乱」の場合は、国が全額負担できるという決まりもあります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%90%8D%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B

このあたりのスキームを使って処理する方が、すっきりとしたものになりそうです。
要するに、損害賠償は国の負担で行うと、決めてしまうのです。

どうしても東電に一部負担させたければ、東電の負担を早めに決めてしまえば良いでしょう。
例えば「1兆円は東電の負担」といった形で最初に決めてしまえば良いのではないでしょうか。

こうすれば、東電にも十分な責任を負わせることは可能です。
そして、各所で補償を口にする大臣の発言も、意味のあるものになります。

賠償の範囲や額まで国が決めたいのなら、国が支払う以外ないでしょう。
合理的に考えると、こういうことだと思います。

ただ、民主党政権だから、合理的に行動するかどうかは、大きな疑問がありますが。

でも、そもそも論として、「国有化ってどうやるのさ?」というのは、これだけ書いた後にも疑問なのです。

補足

さて、補足として、国有化が行われると言う記事と、国有化が行われないという記事を紹介しておきましょう。

■ 厳しさ増す東電の信用力評価、原発事故で巨大な補償コストに警戒感
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110328-00000939-reu-bus_all

■ [FT]それでも東電は生き残る 破綻・国有化の可能性低い
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE0E7E2E1E68DE0E7E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

投資は自己責任で

以上、色々書いてきましたが、あくまで参考までということでお願いします。
ほかで書いている部分もそうですが、この問題に関しては本当によく分かりません。

色々な記事を読んでみましたが、政府がどういう国有化を目指しているのか、正直、よく分からないのです。
全く予想できない事をしてくる可能性だって…。

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