このエントリーをはてなブックマークに追加このエントリをつぶやくシェア

血相を変えて逃げ出す気持ちは分かる…でも誤解も多そうだ

アメリカは原発から80km以上離れるように勧告しているようです。
その根拠が分かりました。

ニューヨークタイムズの次の記事です。

■ The Evacuation Zones Around the Fukushima Daiichi Nuclear Plant
http://www.nytimes.com/interactive/2011/03/16/world/asia/japan-nuclear-evaculation-zone.html?scp=1&sq=estimates%20of%20potential%20exposure&st=cse

この記事では、あるモデルで計算した場合に、最悪の結果どんな症状が出るかが書かれています。
アメリカ合衆国原子力規制委員会というところによるものです。

1マイル(1.6km):数週間以内の死亡
2マイル(3.2km):2ヶ月以内に死亡する可能性がある
3マイル(4.8km):口や喉からの出血
5マイル(8.0km):めまい、吐き気、抜け毛
50マイル(80km):血液の科学的な変化

アメリカ政府はこれを元に退避勧告を出しています。
確かに、これを見ると、不安になって逃げ出したくなるでしょう。

この記事はちょっと危険

ただ、正直に言って、この記事はを読んで、慌てふためく必要性はありません。

なぜなら、これは単に「モデルを設定して計算してみた」ものに過ぎないからです。
実測値を元にした、分析ではないのです。

そして、モデルの設定は、将来状況が悪化した場合を想定しています。
現在の状況で計算しているわけですらないのです。

この点はちょっと誤解を与えそうです。
しかも健康被害についても、想定する事態が仮に起きた場合の最悪の症状について書かれています。

現状との混同があるようだ

米合衆国原子力規制委員会は、あるモデルを使って将来の状況を設定し、それをもとに計算しています。
要するに、事態が悪くなった場合こんなことになるから、今のうちに避難しておいてくださいという程度の話です。

元のリリースでは、具体的には、次のように記述されています。

in the United States protective actions recommendations are implemented when projected doses could exceed 1 rem to the body or 5 rem to the thyroid.
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2011/11-050.pdf

これは何を言っているかというと、「被ばく量が100ミリシーベルトを超える可能性があるときに、勧告が出される」といっています。
今回の場合は日本からの情報不足もありましたから、米原子力規制委員会は「可能性はある」と判断されたのでしょう。

要するに、あくまで米原子力規制委員会は、「可能性がないわけではない事」を判断したに過ぎません。
ですから、この記事を読んで、パニックに陥る必要はないのです。

ところが、ニューヨーク・タイムズの記事などを読んでパニックになっている人がいるようです。
記事にあるような被ばくのリスクが、既に現実のものになっていると思っているのです。

これは完全に間違いです。
繰り返しますが、米原子力規制委員会の想定する、「最悪の事態が起きたときにこういう被ばくをしますよ」というデータですから。

現在の値はずっと小さい

ちなみに現在の放射線の測定値は、記事のデータに比べずっと小さい値です。
少なくとも現段階では、記事に書かれているほどの心配をする必要はなさそうです。

もちろん、将来的に状況が悪化しないとは限りません。
その意味では、注意して状況を見たほうが良いのは間違いないでしょう。

最悪の事態が起きるかどうかは、しばらく注意して見張っていないといけません。

ちょっと待った

違うポイントで、ちょっと気になる点が。

記事の中にあるPotential radiation exposure (in rems)は被ばくする可能性のあるの放射線の量です。
米原子力規制委員会が想定した事故にまで発展したときに、このくらい被ばくする可能性があると言うことですね。

ちなみに、rem (レム)というのは古い単位で、現在はシーベルトという単位を使うみたいです。
具体的には、「1シーベルト=100レム」なのだとか。

記事にあるように、50マイル(80km)のところの被ばくの可能性は10レムとなっています。
これはシーベルトに直すと、0.1シーベルト(=100ミリシーベルト)です。

すなわち100ミリシーベルト程度の被ばくで、いわゆる「健康被害」の恐れがあるとしています。

ところで、日本政府は消火活動などにあたらせるために、国家公務員の被ばくを250ミリシーベルトまでは可能としました。

■ 公務員の被ばく上限引き上げ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110317/t10014736351000.html

アメリカで健康被害を懸念する数値の2.5倍まで緩めたことが分かります。
さすがに、この数字では「健康被害なし」とは言いきれないでしょう。

現場で作業をする人には、相当のリスクを負わせていることが分かります。

スポンサードリンク

スポンサードリンク


タグ: ,

このエントリーをはてなブックマークに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをつぶやくシェア

関連した記事を読む

コメントは受け付けていません。